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静脈内鎮静法 Intravenous Sedation : IVS

静脈内鎮静法 Intravenous Sedation : IVS

読み

じょうみゃくないちんせいほう

英語(スペル)

Intravenous Sedation : IVS

説明

精神鎮静法の一つで、歯科臨床における有用な麻酔管理方法として以前より広く周知されている。

特に、歯科治療に著しい恐怖心を抱く患者さん、異常絞扼反射を有する患者さん、歯科小手術等で比較的侵襲の大きな処置を要する患者さんなどに対して、快適・円滑な歯科治療を行うために用いられている。また、昨今の高齢化社会において、併存疾患を有する患者さんに対しストレスを軽減した安全な歯科治療を提供するという側面にも大きく寄与している。

 

2008年に保険点数項目として新設(120点)され、2020年の診療報酬改定において600点へと大幅に増点された。

 

歯科麻酔臨床におけるIVSの歴史は古く、1972年にベンゾジアゼピン系催眠鎮静薬のジアゼパムを用いた報告がなされ、1988年には同鎮静薬であるミダゾラム、1995年には静脈麻酔薬のプロポフォールが臨床で応用されるようになった1)

 

使用薬剤としては、ミダゾラムが、優れた抗不安作用・健忘効果を有し、また短時間作用型という利便性から頻用されてきた。2000年頃からは、プロポフォールが速やかで快適な覚醒をもたらし、鎮静レベルの易調節性、異常絞扼反射に対する抑制作用を有するといった優れた特徴を有することから、主に使用されるようになった。

 

現在では処置内容や鎮静の目的に応じて使用薬剤を選択したり、場合によってはそれらを併用することによって安全かつ患者満足度の高い麻酔管理が行われている。

 

 

参考文献

1) 見崎徹、大井良之:歯科外来における鎮静法、日臨麻会誌、28(3)、431-438、2008

 

 

執筆・出典

石田 義幸(歯科医師・歯科麻酔専門医)