第3回 ⻭科医院成功の秘訣は「褒める」。たったそれだけ! / 高橋 翔太

私がデンタルフィットネスのコンサルでご支援をさせていただくクリニックにお伝えしている「こうすれば歯科医院経営は成功する!」という秘訣の1つが『患者さんが “勝手に” 来院する仕組みを作る』です。

 

この「勝手に来る」とは、私たちが必死にアピールしなくても、むしろ何も言わなくても、患者さんが定期的に通ってくれる状態です。

 

皆さんは、患者さんに来院してもらうために、必死にリコールの電話をしてみたり、キャンセル率の高い患者さんを断ってみたり、他にも色々工夫はしていても「勝手に来院される」状態にはまだなっていないのではないでしょうか?

 

今回はその解決策を、それも最も簡単な方法をお伝えしますね!

 

 

 

その秘訣は・・・「褒める」。

 

これだけです。

 

え、それだけ?と思われた方いらっしゃると思いますが、どうぞ最後までお読み下さい(笑)。

 

そもそもどうやって褒めれば良いのか?

「褒めて下さい」というと、コンサル先の現場からは「いつどうやって何に対して褒めれば良いのか分かりません」と返ってきます。

 

治療をメインとする歯科医院では、患者さんはお口の中が良くない状態。むし歯だらけの様子を見て「素晴らしいですね!」なんて言ってしまうと、馬鹿にしているのかと怒られてしまうでしょう。

 

一方、予防で来られた患者さんの場合はどうでしょうか?お口の中をみて、褒めるところは全く無いのでしょうか?

完璧ではないにせよ前回よりも少し歯磨きが上手になっている、今まで磨けていなかった奥歯が綺麗になっている、歯肉の状態が良くなっている、そもそも定期的にずっと通ってくれている・・・、このように考えると褒めるところはたくさんあります

 

 

褒められると嬉しいし前向きになる!

実はデンタルフィットネスのゴール設定にしている「セルフケアの習慣化」を達成させるために最も効果的なのが、この「褒める」ことです。

 

人は褒められると、認められたと思い、その気になります。

 

常にその人がセルフケアに対するモチベーションを高められるように、ポジティブな言葉を選ぶのが、とても大事なポイントとなります。

 

 

 

最近は、どの歯科医院でも患者さんを褒めることを心がけていることでしょうが、ここでクイズです。

Q. 定期健診で染め出しをして、プラークコントロールの数値が前回よりも今回のほうが悪かった場合、どうやって褒めますか?

 

歯科医師としてウソをつくわけにはいきませんから、本当は悪い状態なのに「今回もよい状態ですね」とは言えませんよね。

 

一方で、適切に歯磨きができていないからといって、「今回はよくないですね。歯磨きがちゃんとできていません」「あなたの歯磨き方法は間違っているので正しい方法を教えます」というと、ほぼ100%、患者さんのモチベーションは下がります。

 

それでも患者さんを褒めるには、具体的にはどのような言葉をかければいいのでしょうか?

 

 

 

答えは、「過去を褒める」のです!!

 

「前回はすごくよかったですよね。今回は何かありましたか?」 

 

「いつもはよくできていたから、今日はたまたまよくなかったですよね。次また期待していますね!」

 

と褒めてみましょう。

 

患者さんは、

 

「そうか、確かに前回はちゃんとできていたよな・・・!自分はやればできるんだ!」

 

とモチベーションが上がります。

 

指摘をしなくてはいけない場合はどうする? 

もちろん、褒めるだけでは会話や指導は成り立ちません。指摘をする場面も多くあるでしょう。その時は、同じことを伝えるにしても、少し工夫するだけで単なる「指摘」に終わらせないことが重要です。

 

ここでも、基本は「褒める」。どうしても「指摘」をしないといけない場合は「褒めてから指摘」を心がけましょう。

 

褒められて自信をもった患者さんはセルフケアが継続され、歯科医院に定期健診で通う度に褒められてモチベーションがひたすら上がり続けます。気付けば歯科医院に通うのは当たり前となり、セルフケアの習慣化が完成している状態です。

 

 

そもそも、なぜ褒めるのか?

ここまで読んで、「そう言えば褒めてなかったな・・・」「褒めるのは苦手」「むしろ褒める必要はあるのか?」と思った方もいるのではないでしょうか?

 

ここで重要なのは、「治療」と「予防」とでは、提供しているサービスがまったく違うということです。治療においては、患者さんの耳に痛いことでも、ちゃんと指摘して指導しなければなりません。

 

しかし、予防は違うのです。すなわち、「治療の常識」と「予防の常識」が根本的に違うことをしっかり認識する必要があります。

 

 

治療の際にむし歯があれば、歯科医師は指摘しなければいけません。むし歯は、歯科医師が治療しない限り治らないからです。「髙橋さん、ここむし歯ですよ。治していいですか?」と指摘して、治療の同意を得なければなりません。

 

あるいは、もし患者さんから「なんでここにむし歯ができるんですか?」と質問されたら、「もしかしたら、甘いものを食べすぎているのかもしれませんね」「歯磨きの仕方がよくないかもしれませんね」と、患者さんにとって耳の痛いことを言わないといけません。

 

これらは歯科医師の使命ともいえるでしょう。

 

ところが、予防歯科で歯科医師や歯科衛生士がかけるべき言葉は、そうした言葉とは異なります。セルフケアを習慣化させるためには、患者さんにやる気になってもらわないといけません。耳の痛いことを指摘されてやる気が出る人はあまりいないでしょう。

 

 

デンタルフィットネスでは「治療と予防の境目」を強く意識します。今回の「褒める」という手法も「予防の世界」でのみ機能する方法論です。

 

そして、貴院を予防型の歯科医院経営に切り替えていくには、いかに顧客目線(患者目線)が大事か、ということが、今回の「褒める」意味をご理解頂ければ想像できるでしょう。

 

他にも「リコールの電話はやめる」「次回の予約はチェアサイドでDHが取る」「ノンバーバルコミュニケーションを意識した60分の定期健診メニュー」「予約表は左から予防枠で埋めていく」・・・・など、様々なノウハウがあります。

 

 

私が年に数回、コンサルをお受けしている「デンタルフィットネス導入コンサルティング」では、このノウハウを余すことなくお伝えするセミナーやマニュアルの御提供だけでなく、実際にやりながら経過観察をさせていただくOJT型のコンサルティングもセットになっている1年間の実践型経営塾とも言えます。そして、2022年9月現在、約70医院が同時にこのコンサルを受けていただいております。

 

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前回のコラムはこちら

第1回 超⾼齢社会?いやいや、注⽬すべきはデジタルネイティブな Z 世代!

第2回 なぜ今サブスクが流⾏っているのか?そこには時代に沿った答えがあった!

 

執筆者

高橋 翔太の画像です

高橋 翔太

コンサルタント

医療法人社団しん治歯科医院 COO 兼 事務長

医療法人社団しん治歯科医院 COO。日本で唯一のストック型歯科医院専門コンサルタント兼歯科医院の経営者。IT企業、証券会社の勤務を経て、東京で広告代理店など複数社企業を起業。その後、震災の影響による倒産や出資詐欺被害、ビジネスパートナーの夜逃げなどの経験を元に、歯科業界専門のビジネスコンサルタントを開始する。同時に父親が開業した、しん治歯科医院の経営に事務長として参画し、次々と経営を改革。結果、2年間で売上を2億から5億に成長させ、2022年度は6億を超える計画で進行中。現在は、自医院で結果が出た手法を「次世代ストック型歯科医院経営法」としてまとめ、他の歯科医院経営者に提供している。プライベートでは車、カメラ、マンガおたく。

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