第2回 なぜ今サブスクが流⾏っているのか?そこには時代に沿った答えがあった! / 高橋 翔太

近年、Netflix やAmazonプライムといった「サブスクリプション(サブスク)型」のサービスが急速に普及しています。

 

私は、「予防歯科」は、このサブスクのイメージで捉えています。

実際に「毎月○○円支払えば、歯科医院で定期健診を受け放題!!」・・・とはなりませんが、予防歯科は患者さんから「定期健診の費用」を受け取ることで、患者さんの健康増進をサポートしている、つまり「健康をサブスクリプションしている」と捉えれば伝わるでしょうか。

 

予防歯科=サブスク、と捉えた場合、患者さんだけではなく歯科医院や経営者側にも大きなメリットがあります。

 

今回はそのメリットを深掘りしていきましょう。

 

サブスク=ストック型ビジネスである

そもそも、なぜ多くの企業がサブスクに参入するのでしょうか。

 

それは顧客との長期的な関係性を保ちたいからです。

モノが売れないこの時代だからこそ、新たな顧客を獲得する施策よりも、既存の顧客に繰り返し利用してもらう「ストック型」への転換を進めているのです。

 

この「ストック型」とは、単純にいえば、新たに新規顧客を10人獲得するのではなく、既存の顧客に更に10 回多く来てもらう(リピーターになってもらう)というスタイルです。

 

マーケティング業界では、「既存顧客に販売するコストに比べて、新規顧客に販売するコストは5倍かかる」という「1:5 の法則」があります。つまり既存顧客をいかに増やすかがビジネスの成功を左右すると言えるでしょう。

 

これは歯科医院経営においても、ほぼ同じです。

人口減少に加え、むし歯保有者数の減少、共働き家族の増加など、一昔前に比べてむし歯の治療で訪れる患者さんの数(=新規顧客)は減少傾向にあります。それよりも治療が完了した患者さん(=既存顧客)を、いかに「ストック型」に転換させるか。その答えが予防歯科にあるわけです。

 

 

ストック型最大のメリットは売り上げの安定

つぎに、少し違う角度から「ストック型」を分析しましょう。

 

一般的に「ストック型ビジネス」というと、「会員制ビジネスだから楽ができる」「放っておいてもお金が入ってくる」というイメージを持つ人が多いでしょう。

しかし私は、「ストック型」の最大のメリットは、外的要因が変化しても売り上げへの影響が少ないことだと考えています。

 

歯科医院でいえば、ストック型ビジネスの医院は、隣に新しい歯科医院ができたり、近年ならコロナ禍が起きたりといった外的要因があっても、その影響を受けにくい、つまり売り上げが下がりにくいのです。

 

 

それはなぜでしょうか?この理由も予防歯科の特徴で説明ができます。

 

それは、予防歯科に長く通ってくださる患者さんの多くは、セルフケアが習慣化しているからです。

 

「歯科医院に行って汚れた歯をクリーニングしてもらおう」という感覚の患者さんであれば、いつも通う歯科医院が休院していれば、「今日は他の歯科医院でいいか……」となるでしょう。

 

しかし、セルフケアが習慣化している人は、自分の健康状態を「かかりつけのプロ」にチェックしてもらうために訪れます。

 

ですので、普段通っている歯科医院に通いつづけたいと考えます。これが本当の意味での「ストック型」が成立している状況です。

 

時代はプロダクトアウトからマーケットインへ

そもそも一般的に、日本人はあまり歯科医院に行きたがりません。

 

理由は単純で、「できれば治療したくない」と考えているからです。ここを突き詰めると、そもそも患者さんが求めていることは何か?という疑問に突き当たります。

 

患者さんが求めていることは、「むし歯を治すこと」でしょうか?そうではなく、本当の潜在的なニーズは「そもそもむし歯になりたくない」「痛いのはイヤ」「健康のままでいたい」というものではないでしょうか?

 

この潜在的なニーズに対して私たちは何を提供できるかを考えること、言い換えれば、顧客が欲しいものを提供するという「マーケットイン」という考え方になります。

 

 

Netflixに代表されるサブスクリプション型のサービスの多くは「マーケットイン」が発想の起点です。

 

かつて日本は「モノを作れば売れる」という時代でした。テレビと冷蔵庫、洗濯機という家電の「三種の神器」が飛ぶように売れた時代がありました。その頃の大手メーカー各社は1,000人規模の中央研究所を構え、そこで最先端の研究を進め、新技術を詰め込んだ新商品を開発していました。それを市場に投入していけば勝手に売れたのです。これを「プロダクトアウト」と言います。

 

ところが今は、「プロダクトアウト」で作られた製品は売れなくなっています。理由は、身の回りに同じような製品やモノで溢れかえっている、顧客ニーズの多様化、製品のコモディティ化など多岐にわたりますが、各メーカーが「プロダクトアウト」から顧客起点の「マーケットイン」にモノ作りを切り替えているという事実に目を向けるべきです。つまり「メーカーが作りたい物を作る」のではなく「顧客が欲しいものを作る」という発想です。

 

 

歯科業界においても、同じような状況だと私はみています。

 

いわゆるむし歯の洪水時代は放っておいても患者さんは増え続け、提供したい治療の品質向上だけに意識を向けていれば歯科医院経営は安定していました。まさにプロダクトアウトの時代であったと言えましょう。

 

そして今、歯科業界でもプロダクトアウトからマーケットインの時代へ移り変わっているとしたらどうでしょうか?

 

患者さんの「できれば痛い思いをしたくない」「ずっと健康でいたい」という潜在的なニーズに対して、「マーケットイン」の発想で、私たちが応えられるひとつの方法が予防歯科なのです。

 

 

私が展開している「デンタルフィットネス」の正式名称は「ストック型予防歯科経営法デンタルフィットネス」です。単なる口腔ケアの手技手法ではなく、歯科医院に「ストック型」の仕組みをインストールします。

 

デンタルフィットネスが定着し機能し始めたクリニックは、患者さんを管理しなくても自ら通い続け長期的な良好関係を築くことができます。隣に新しい歯科医院ができても売上への影響は殆どありません。私はこの状態を「健康な人が訪れる歯科医院」と説明します。

 

 

サブスクリプションが世に広まり、顧客のニーズとして確立した今だからこそ、歯科医院経営者もデンタルフィットネスを介して「ストック型」ビジネスを始められる最大のチャンスが訪れていると考えます。

 

 

次回は「⻭科医院成功の秘訣は「褒める」。たったそれだけ!」についてお話しします。

 

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前回のコラムはこちら

第1回 超⾼齢社会?いやいや、注⽬すべきはデジタルネイティブな Z 世代!

執筆者

高橋 翔太の画像です

高橋 翔太

コンサルタント

医療法人社団しん治歯科医院 COO 兼 事務長

医療法人社団しん治歯科医院 COO。日本で唯一のストック型歯科医院専門コンサルタント兼歯科医院の経営者。IT企業、証券会社の勤務を経て、東京で広告代理店など複数社企業を起業。その後、震災の影響による倒産や出資詐欺被害、ビジネスパートナーの夜逃げなどの経験を元に、歯科業界専門のビジネスコンサルタントを開始する。同時に父親が開業した、しん治歯科医院の経営に事務長として参画し、次々と経営を改革。結果、2年間で売上を2億から5億に成長させ、2022年度は6億を超える計画で進行中。現在は、自医院で結果が出た手法を「次世代ストック型歯科医院経営法」としてまとめ、他の歯科医院経営者に提供している。プライベートでは車、カメラ、マンガおたく。

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