【11月30日(水)まで配信中!】インプラントの適応症が確実に広がる!サイナスリフトに詳しくなる特別セミナーを徹底レポート! / 遠藤 眞次

今回紹介するセミナーは前編・後編の二部構成でお送りする「サイナスリフトの基本から併発症対策まで」。講師は明海大学歯学部付属明海大学病院の嶋田淳教授である。

 

嶋田淳教授はサイナスリフトに関する執筆も多く、「サイナスリフトといえば嶋田先生」と思う先生方も多いのではないだろうか。私もサイナスリフトを始めたころ、嶋田淳教授の書籍で勉強したのを覚えている。

 

前編はサイナスリフトの基本的事項と基本的手技、後編は併発症について述べられており、手術動画も多数供覧されている。

 

今回は、こちらのセミナーの見どころをたっぶりとお伝えしたい。

 

サイナスリフトの基本から併発症対策まで 〜前編〜

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ラテラルアプローチとクレスタルアプローチの使い分け

サイナスリフトは、上顎洞側壁から上顎洞内にアプローチする「ラテラルアプローチ」と、歯槽頂から上顎洞内にアプローチする「クレスタルアプローチ」に分けられる。前編の冒頭では、このラテラルアプローチとクレスタルアプローチの使い分けについて解説があった。書籍等でも解説されているが、ここで改めて確認しておきたい。

 

 

ラテラルアプローチの基本

クレスタルアプローチと異なり、ラテラルアプローチでは開窓部位を設定しなければならない。上端はフィクスチャー根尖相当部+2mmの位置に設定し、下端は歯槽骨頂から4mm以上離した位置に設定。前方においては、上顎洞前壁に沿って設定し、開窓部がオーボイド型になるようにするとのこと。

 

続いて、開窓部の面積については大きい方が難易度が低くなるものの、骨の再生には不利であるという。そのため、オペに慣れてきたら徐々に開窓部を小さくするとよいと嶋田先生は語った。

 

移植材については、人工骨と自家骨を混和する方が良いというのは既知の通り。なお、骨補填材を填入する際には、上顎洞骨壁に向かって圧縮するように填入した方が良いとのことで、今後の臨床の参考にしたいと感じた。

 

 

クレスタルアプローチの基本

現在、クレスタルアプローチの術式は複数ある。今回のセミナーでは、「オステオトーム法」「水圧挙上法」「低速コントラを用いる手法」が解説された。

 

それぞれのテクニックで用いられる器材名やメーカーがセミナー中で述べられているので、導入の際の参考にしてほしい。

 

また、嶋田先生は、よく話題になる「クレスタルアプローチでどれくらい上顎洞底を挙上できるのか」についても詳細に解説。さらに、填入する骨補填材の量についても具体的に述べられていたため、臨床家には非常にありがたい内容であった。

 

 ソケットリフトにおいては、基本的に2〜3mm程度の挙上を行う

 

サイナスリフトの併発症(合併症)とその対策

後編では、サイナスリフトの継発症(併発症・合併症)を中心に解説がなされた。サイナスリフトの継発症には以下の3つが挙げられ、それぞれの対策について述べられた。

① 動脈損傷

② 上顎洞底粘膜穿孔

③ 術後感染

 

まず、① の「動脈損傷」については、約20%の確率で生じるという。損傷を防ぐためにはCTで血管の走行を把握する必要があり、ラテラルアプローチにおいて重要な上歯槽動脈(後上歯槽動脈と中上歯槽動脈と前上歯槽動脈の吻合枝)の走行について詳細に述べられた。

 

術前に適切な診断を行ったとしても、術中に動脈を損傷してしまう可能性はあるため、その対策についてもいくつかの方法が紹介された。

 

② の「上顎洞粘膜の穿孔」については、サイナスリフトを行っている先生であれば一度は経験したことがある継発症なのではないだろうか。嶋田教授でも約4%は穿孔するそうで、穿孔時の対策が必須なのがうかがえる

 

上顎洞粘膜穿孔時の対応としては、「コラーゲンメンブレンによる被覆」「吸収糸による牽引・縫縮」「手術中止」の3つが考えられるという。

 

とくに、大きい穿孔が生じた場合の牽引縫合が動画で見られる機会は少ないので、このセミナーでかならず見ておきたい。使用すべきインスツルメントや縫合糸の種類についても解説されている。

 

最後は ③ の術後感染について。術後感染は約3%で生じるとされるが、大なり小なりサイナスリフト直後は上顎洞粘膜に炎症が生じる。外科的な消炎術はもちろんのこと、抗生剤の処方についても言及された。

 

大きな穿孔に対しては、牽引縫合を行う大きな穿孔に対して牽引縫合を行う様子

 

 

サイナスリフト後の上顎洞炎にはどう対応する?

嶋田教授は、サイナスリフト後に上顎洞炎が生じやすい条件についても述べた。上顎洞炎に移行する可能性が高いかどうかは、術前のCTで診断することができるという。

 

上顎洞粘膜の厚さや中鼻道自然孔ルート(OMC)の評価、ポリープの確認など、確認事項は多岐にわたる。上顎洞の評価について歯科の書籍等で詳しく解説されているものは少なく、本レポートでも確認事項は書き切れないため、気になる先生には本編を見ていただきたい。

 

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***

 

 

セミナーの最後は、前編・後編を含めたサイナスリフトのまとめで締めくくられた。すべての歯科治療においていえることだが、治療そのものよりも、何か問題が起こった時の対処の方がむずかしいことは多くの先生方に共感していただけると思う。

 

本セミナーはサイナスリフトで「問題が起こった時どうするか」「問題が起こらないようにするはどうすべきか」が学べる貴重なセミナー。手術動画も多数供覧されており、満足度が高い内容となっているので、サイナスリフトを行っている先生方にはぜひ閲覧していただきたい。

 

サイナスリフトの基本から併発症対策まで 〜前編〜

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執筆者

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遠藤 眞次

歯科医師

医療法人社団MEDIQOLデンタルクリニック神楽坂 院長

臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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