2019年4月27日より3日間、日本顕微鏡歯科学会の第16回目となる学術大会・総会が、都内の一橋講堂・如水会館にて開催された。

今大会のテーマは「精密歯科治療を極める Perfection of Clinical Dentistry」。

 

日本の歯科治療のシーンに手術用顕微鏡が導入されて25年となり、国内の販売台数は7,000台を超えたと報告されている。もはや顕微鏡は、精密な歯科治療を行うのに不可欠なツールになったと言えよう。


今大会の事前登録者は642名にのぼり、当日は大型連休にも関わらず720人以上が参加。盛り上がりを見せる大会となった。

 

本記事では、当日の会場の様子をレポートしたい。

 

 

まず、学会長の三橋純先生(東京都開業.写真)により開会の挨拶が行われた。

今大会は海外からの来客もあるため、日米中韓の言語であいさつした後、連休にも関わらず集まった多数の参加者を労った。そして実は今大会が、国内で行われる学会の中では平成最後であると披露し、会場を盛り上げた。 

 

基調講演

 

基調講演を務めるのは、今学会の大会長、古澤成博先生(東京歯科大学教授)。ご自身の顕微鏡歯科治療暦を紹介しながら、顕微鏡歯科の過去・現在・未来を話された。1993年に渡米し、Dr.G.B.Carrの主宰するP.E.R.F.(Pacific Endodontic Research Foundation)の門戸を叩いたことから始まり、東京歯科大学に初めてマイクロスコープを導入、今では10台を保有し、学生の登院実習でまで使用されているという歴史と事実に感嘆する聴講者も多かった。

 

補綴シンポジウム『補綴処置の精密歯科治療を極める』

補綴のシンポジウムでは、歯内療法専門医の尾上正治先生(東京都開業)、補綴医の立場から佐氏英介先生(東京都開業)、歯科技工士の青木啓高氏(静岡県開業)が登壇した。

尾上先生は、エンドの立場から、修復治療がいかに根管治療の成否に影響を及ぼすかについて文献をもとに解説。支台築造や補綴形態についても見地を述べた。

佐氏先生は、自身が学んだ藤本研修会の大原則から、質の高い補綴治療の実践には、①咬合の安定、②精度の維持、③術前・術後の管理の三つが必須条件であると語る。連携診療で指揮者役を務める補綴医として、マイクロスコープを使用するステップやチームのコミュニケーション方法について解説した。

青木氏は、テクニシャンがいかにして精度を高めているか、その一端を紹介し、歯科技工サイドからの提言を行った。ラボでも当然顕微鏡を使用するため、歯科医師と目線を合わせることが肝要なようだ。

質疑応答では、「チームを組む上では、遠慮し合わないこと」と三者一致した見解を語った。

 

歯科医師と歯科技工士の視覚強化について解説する佐氏先生

 

歯内歯周シンポジウム『歯内-歯周疾患の精密治療を極める』

歯内歯周のシンポジウムでは、エンドの立場から牛窪敏博先生(大阪府開業)、歯周の立場から石川亮先生(兵庫県開業)が登壇。

牛窪先生は、ペンシルバニア大学歯内療法学教室で学び、現在Penn Endo Study Club in Japanのメンターを務める。今回はテーマをエンドペリオ病変とし、Simonの分類(1972年)を紐解きながら、その診断方法・鑑別方法、治療と評価方法などについて文献をベースに解説した。

石川先生は冒頭、「シンポジストの牛窪先生は大学の先輩にあたるため緊張する」と述べながらも、5-D Japanのインストラクターを務める立場から、CBCTやマイクロスコープを活用した歯周・インプラント治療について、症例を交えて解説。診断と治療の正確性によって結果は変わると強調した。

 

シンポジウム、質疑応答風景

 

歯科衛生士シンポジウム

マイクロスコープは歯科医師だけのためのものではない。

当然ながら、歯周治療やメインテナンスを担当する術者である歯科衛生士も、大いに活用できるツールだ。

そのため今大会では、別会場の如水会館にて、歯科衛生士による歯科衛生士のためのシンポジウム『認定歯科衛生士はどのように顕微鏡を学んでいるか』が開催され、満席となった。

 

このシンポジウムに関しては、姉妹サイト d.Style にてレポートしているので、あわせてお読みいただきたい。

歯科衛生士がマイクロスコープの魅力を紹介!日本顕微鏡歯科学会 第16回学術大会レポート(d.Style)

 

画像クリックでd.Style記事へ

 

特別講演「臨床研究法について」

臨床研究の定義や分類について解説する笹井先生

 

今年4月に施行(交付は平成29年)された「臨床研究法」という法律がある。

これは、相次いで生じた研究不正事件を踏まえ、特定臨床研究の実施に法的規制を課すことで研究不正を防止し、研究対象者をはじめとする国民の臨床研究に対する信頼を確保することを目的としたものだ。

今大会では、日本大学松戸歯学部の笹井啓史先生(医療管理学 保健医療政策学分野 教授)と東京歯科大学の鳥山佳則先生(歯科医療管理学 教授)を招いて、特別講演が行われた。最新の機材や材料を用いて研究・発表することの多い本学会会員の注目を集める講演となった。

 

AMED講演

海外交流を強化している本学会では、一般口演に海外演者が登壇するだけでなく、AMED(The Academy of Microscope Enhanced Dentistry;アメリカ顕微鏡歯科学会)の招聘講演を今年初めて行った。

3人の演者の中でも、AMEDの会長であるDr.William Lingerから、6ハンド(2人のアシスタント)と静脈内鎮静法を用いて100%マイクロスコープを用いて行う診療スタイルが紹介され、会場から驚嘆の声が上がった。

 

 AMEDの会長 Dr.William Linger

 

ポスター発表・企業出展

企業フォーラム 北村和夫先生(コルテンジャパン合同会社協賛)

 

企業フォーラム 磯崎裕騎先生(株式会社モリタ協賛)

 

ポスター討論

 

企業展示風景

 

著者自身が書籍について解説するブックフェア

 

閉会式・次回大会

第17回学術大会の案内が次回大会長の和田尚久先生より行われた

 

日本顕微鏡歯科学会の次回学術大会は、2020年4月24日(金)より福岡県福岡市のアクロス福岡にて行われる。
次大会のテーマは「顕微鏡歯科のネクストステージ Next Stage of Microscope Dentistry」。

 

WHITE CROSSでは、大会長を務める和田尚久先生(九州大学病院口腔総合診療科 教授)にコメントをいただいたので、最後にご紹介したい。

 

顕微鏡は広く浸透し、大学教育においても取り入れられ始めています。顕微鏡をネイティブに使う世代も、もちろんベテランの世代にも楽しんでいただけるような企画を多数ご用意する予定です。また、開催地の福岡は海が近く、ご存じのように美味しい名物がたくさんあります。また、温泉なども多くありますので、ぜひお越しになってください。

執筆者

WHITE CROSS編集部

WHITE CROSS編集部

臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。

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