2017年5月27日・28日、日本アンチエイジング歯科学会の第12回目となる学術大会が、「Healthy Aging〜幸せな人生への架け橋〜」のテーマのもと愛知県名古屋市にて開催された。

 

1日目のレポートはこちら

[レポート]アンチエイジング歯科学会第12回学術大会 1日目

 

2日目は3つの会場をフル稼働させ、ランチョンを含めると13の演題が展開された。

予防歯科、審美歯科、歯周病学を始め、医師からの提言、食と健康、メンタルヘルスやコミュニケーション学など、多彩なテーマが用意される学会となった。

社会的にも必聴の演題が揃い、来場者が身体が足りないことを口惜しく感じたことは想像に難くない。

 

本稿では、1日目のレポートに引き続き、演者の先生や講演のサマリーをご紹介する。来場された方もそうでない方も、今後の参考になれば幸いである。

演題

『健康長寿の支援〜おいしく、楽しく、美しく、摂食機能の実力〜』植田耕一郎先生(日本大学歯学部摂食機能療法学講座 教授)

 

日本大学歯学部摂食機能療法学講座、そして講座のリーダーである植田先生は、国内の摂食・嚥下の分野におけるパイオニアである。

植田先生は約30年前、東京都内にできたリハビリテーション病院に単身歯科医師として赴任したところから現在のキャリアをスタートさせた。「口腔に直接触れる」ことは、他の医療職と想像以上に大きな温度差があり、歯科医療従事者に特異性のある貴い所作であると話す。

摂食・嚥下機能のリハビリテーションは患者個々に大きく異なり、必ずしも治癒がないことから、ブレない理念が最重要であるとした上で、診療室でも始められる支援や高齢者対応について数々の提言を行った。

 

 

『健口から健倖への道のり〜内科医から見た歯科が誇るべき宝〜』西田亙先生(医師・糖尿病専門医)

 

「生まれ変わったら歯科衛生士になりたい」

冒頭からそのように話すのは、医師で糖尿病専門医の西田亙先生だ。

西田先生は、自分を含め医師は基本的に扁桃を診ることはあっても口腔には疎いと言う。しかし、歯周炎の治療を受けたことで自身の健康状態が劇的に改善したのをきっかけに、口腔の感染制御の重要性や医科歯科連携の必要性を痛感したと語る。今では自分は日本一の歯科の応援団ですと言い切るのは、決してリップサービスではなく、独自に集積した文献をもとに、医師の見地から歯周炎の脅威を解説された。

そして、日本国民を動かすにはまず医科を動かす必要があると説き、医師の立場から様々な提言を行った。

 

 

『歯周病治療は若返りの秘訣』若林健史先生(東京都渋谷区開業)

 

「人は血管と共に老いる」

臨床歯周病学会の副理事長も務める若林先生は、冒頭カナダの医師ウィリアム・オスラーの言葉を引用して講演を始めた。

歯周病の治療は血管を若返らせることであり、健康や長寿に繋がる医療だと話す。健康で長生きをするポイントは、食事と運動と生きがいの3要素だとした上で、歯周病専門医の見地から、患者の価値観を変えることの重要性について語り、ご自身の数々の症例や文献を供覧された。



『時代が求めるキラキラ輝くハイジニスト〜その条件とは〜』後藤邦之先生(愛知県春日井市開業)


後藤先生は、少子高齢社会の時代において、全て年代の人に求められ患者の心をつかみ、信頼感と安心感を抱かせられるようなハイジニストが必要とされていると話す。そのために、患者さん個々に関する情報を得ることはもちろん、見逃しがちな盲点に気づき、臨床応用することの重要さを強調された。

 
『歯の健康を保持するための歯内療法』中田和彦先生(愛知学院大学歯学部 歯内治療学講座 教授)

 

一般に歯内療法=根管処置と捉えられる傾向にあるが、歯内治療の基本は「歯髄の保護」にあると中田先生は話す。

超高齢社会の日本にとっては歯の健康を維持することが喫緊の課題であり、歯内療法分野からの社会貢献とは歯髄の保護である、という観点からアンチエイジングを語られた。

 

 

『プレゼンから学ぶ!ガッテン術 Healty Aging』北折一先生(元NHK 科学・環境番組部専任ディレクター、元「試してガッテン」演出担当デスク)


健康は大切だから健康づくりも当然大切。そんなことはみんなが分かっているはずなのに、みすみす病気になる道を選んで行く人が後をたたないのはなぜですか?
その大きな理由は、これまでの指導が「健康づくりが大切なのは当然」という前提でいたからだ、と北折先生は話す。
どうしたら患者さんに伝わるのか、気持ちを動かすことができるのか。「早口で話します!」と始まった北折先生のプレゼンは、大人気番組『ためしてガッテン!』同様、情報も笑いも盛りだくさんの講演となった。Q-STATIONにて連載中。

 


『タクティールケアからのコミュニケーション術〜自分をプロデュースする方法〜』香取祐子先生(一般社団法人セルフプロデュース協会 理事)

 

タクティールとはラテン語で、「触れる」を意味し、世界のあらゆる医療現場で実施されているという。タクティールケアの効果はオキシトシンホルモンの分泌が根拠として考えられており、心地よさや安心感、痛みの軽減をもたらすとされる。テレビの通販番組で、1時間で1億円の売り上げ実績を持つ香取先生は、自身で培ったコミュニケーションテクニックを交えながらその有効性を話された。

 

 

『健康寿命を延ばすための歯科からのアプローチ』柴田知里先生(愛知県尾張旭市 しばた歯科・矯正歯科 副院長)

 

柴田先生は歯や歯周組織の機能維持・機能改善にも必要な栄養素に着目している。歯科医療従事者が食事や栄養素について学び、患者教育を行うことこそが、日本の健康寿命を延ばすことにつながると語る。自身で行った様々な検査結果を根拠に解説をされた。

 

『歯科医療現場に求められるポジティビティ&プロフェッショナリズム』晴香葉子先生((株)リトルクローバー)

 

心理学者としても活躍される晴香先生は、今後予測される社会の心理と共に、アンチエイジングの市場予測とその中での歯科医療の可能性についてお話された。

 

『ケトン体が人類を救う』宗田哲男先生(千葉県市原市 宗田マタニティクリニック院長)

 

ケトン体といえば糖尿病の悪化や飢えの状態を暗示させるものとして認識されていたが、近年その評価が逆転してきているという。
マタニティクリニックの院長を務める宗田先生は、妊娠するとケトン体体質になることを研究するだけではなく、他院では堕胎をすすめられた糖尿病の妊婦さんのケアを多くサポートしてきた実績を持ち、糖質制限の医学的見地について分かりやすく解説された。

 

ランチョンセミナー

『突き抜ける歯科経営』小野芳司先生(医療法人財団興学会 代表理事)

 

アメリカの歯科医師のデータを引用し、日本の歯科医師は1/3の給与で3倍の患者数を診療しているという、刺激的な数字をご提示された。

小野先生はこの差の理由について、社会制度もさることながらその歯科医療の提供内容に違いがあるとし、自身のクリニックがCureからCare、Cosmeticへと展開するにつれ、医業収益も増加していった経緯を解説された。

さらに、導入しているツールやシステムなどの具体的な施策について、短い時間ながらも余すところなく公開された。

 

 

『歯科医院で救える、助かる、命がある!』中谷泰志先生(デジタルワン株式会社 代表取締役社長)


口腔がん撲滅委員会理事として活動される中谷先生は、以前は口の中にがんができること自体を知らなかったと語る。口腔がんの恐ろしさと知識の普及のため、まずは北海道から順に全国でセミナーを開催するための活動を行っている。

 

 

『DentsplySirona to solution』松根正幸先生(株式会社デンツプライシロナ)


ニッケルチタンファイルの基本仕様から応用など、デンツプライシロナ社が現在提供可能なソリューションについて解説された。

企業ブース

 

 

 

 

 

 

 

 

今大会の出展企業は75社を超え、会場には他学会では珍しく感じる美容に特化した企業が多く出展されていた。
ブースの一角には大きな休憩スペースも設けられ、お子さん連れの参加者も目立った。

次回大会

 

 

次会はグランフロント大阪ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンターで『生-IKIRU-』をテーマに2018年5月26日(土)・27日(日)の日程で行われる。

 

次会大会長 河野渡先生のコメント

「大会テーマが“生きる”ということで、壮大ではあるのですが、みんなで楽しく笑って生きていく、それがアンチエイジングの大きな役割だと思っています。参加される皆様に楽しんでもらえるような企画を用意していますので、来年は大阪で盛り上がりましょう!」

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