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ニュース 2024/05/07

歯科技工物の受発注について考える -歯科技工士実態調査報告書から-

WHITE CROSS編集部

疾病構造の変化とともに、治療から予防へとニーズがシフトした昨今においても、歯科治療の主体は形態や機能の回復にある。そこにおいて、歯科技工の重要性は、昔も今も変わらない。

 

しかしながら、歯科医師の最大のパートナーたる歯科技工士の実態について、時間的・空間的隔たりといった事情から、正確に認識しているドクターは少ないのが実情ではないだろうか。

 

今回WHITE CROSSでは、公益財団法人日本歯科技工士会が調査している『2018歯科技工士実態調査報告書』のデータを紹介し、歯科技工士の実態について解説していきたい。

 

 

歯科技工士実態調査報告書とは

日本歯科技工士会が歯科技工の社会実態を数量的に明らかにするために、また歯科技工士や歯科技工業の実態を把握し広く社会に開示するために行っている統計調査。

3年ごとに継続して実施している定期調査となっている。今回の調査報告書は、2018年に無作為に抽出された歯科技工士904名から得られた様々な回答がまとめられている。

 

前回、歯科技工士を取り巻く環境について解説した。

前回の記事はこちら

歯科医師の最大のパートナー、歯科技工士について考える -歯科技工士実態調査報告書から-

 

今回は、歯科技工士の主業務である技工について深堀りしていきたい。

 

技工物の受注状況について

日常的に作成している補綴物の種類

グラフは2018歯科技工士実態報告書より引用

 

「クラウン・ブリッジ系」がもっとも多く76.1%、「有床義歯系(金属床を除く)」60.8%、 「ポーセレン系」52.5%という結果となった。

CAD/CAMやインプラント、金属床系も約3割の技工所が手がけているという結果になっている。

 

 

受注が最も増えている補綴物の種類

グラフは2018歯科技工士実態報告書より引用

 

「有床義歯系(金属床を除く)」21.6% 、「CAD/CAM」15.6%という結果となっている。疾病構造や人口構造の変化やテクノロジーの発展を受けた結果となっていることが見受けられる。

 

 

受注が最も減っている補綴物の種類

 グラフは2018歯科技工士実態調査報告書より

 

「ポーセレン系」21.8%、「クラウン・ブリッジ系」17.1%となっています。ポーセレン系やクラウンブリッジ系の減少は、CAD/CAM等が増えていることが原因と考えられる。

 

技工サイドのデータを見ることで、より客観視できることがあるかもしれない。

先生方の臨床実感と比較していかがだろうか。

 

技工物の受注について 

歯科技工指示書に常に記載されている項目

 

グラフは2018歯科技工士実態調査報告書より

 

自営者全体では、「患者の氏名」97.7%、「歯科技工所名」94.0%、 「発行の年月日」93.2%となっている。「シェード」「材料」「設計」などの重要な医学的情報の記載がない場合も、2割ほどあるようだ。

「納期」や「歯科医師の氏名」も、良好なビジネス関係の構築のためには重要なファクターかもしれない。

 

忙しい臨床家の先生にとっては耳に痛い指摘であるし、関係が深いがゆえに省略可能となっているケースも多々あるものと推察される。

 

しかしながら、エラーを防止し、生産性を高め、より良い補綴物を作成するためには、歯科技工指示書の記載の仕方は今一度見直すことも大切ではないだろうか。 

 

 

模型等の感染対策

グラフは2018歯科技工士実態調査報告書より

 

自営者全体では、「委託先の歯科医療機関で感染対策が行われている」が63.6%、「歯科技工所で感染対策を行っている」が37.9%、「どの段階においても感染対策を行っていない」が16.9%となった。パートナーラボの感染事故を防ぐためにも、歯科医院にて十分な感染対策が望まれる結果となった。

 

 

テクノロジーの発達に伴い、技工物の受注内容にも変動があるようだ。

CAD/CAMや3Dプリンター、光学印象など、デジタルの知識や技術を取り入れることと同時に、今後も増加すると考えられる有床義歯の製作技術が、今後の歯科技工所に求められていくことになりそうだ。

 

歯科技工指示書や感染対策といった点も、求められるコンプライアンスの高まった現代においては、しっかりと対応していくことが求められるだろう。

執筆者

WHITE CROSS編集部

WHITE CROSS編集部

臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。

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