一般メディアを通じた歯科医療情報発信の価値 千葉県歯科医師会 / WHITE CROSS編集部

東京アラートが発動されるなど、予断は許さない状況にあるが、日本国内における新型コロナウイルス(以下、COVID-19)の感染拡大は、終息に向かっている。

WHITE CROSSが行っている「COVID-19の来院患者数への影響についての調査」によると、 その影響は5月後半にピークを迎え、「4割減少」と回答した歯科医院が28.0%で最大となり、94.7%の歯科医師が「1割以上減少した」と回答した。6月に入ってからは回復基調に転じており、「平時の8割以上まで患者数が戻ってきた」と回答する歯科医院が増えてきている。そこにおいては、まず治療患者が戻り、次にメンテナンス患者や介護施設における歯科訪問診療が再開されていく傾向が見られる。


これらの背景として、表層経済の緩やかな回復に加えて、基本的に歯科医療は必要であり、急・不急については専門的な判断を要すること。そして、適切な感染対策下における歯科医療の安全性が一般社会に認知されはじめたことなどがあるのではなかろうか。

 


千葉県歯科医師会はコロナ禍を通じて、歯科医療従事者・患者の双方を対象とした情報発信を行ってきた。そして5月29日、これまで発信してきた情報をまとめた提言が、千葉テレビにて取り上げられた。

WHITE CROSSでは、一般メディアを通じた歯科医療情報発信の価値を知ることができる良例として、千葉県歯科医師会に許可をいただきテレビ番組を掲載させていただいた。

シャキット! 5/29 (金) 千葉県歯科医師会からの提言

出典_YouTube_千葉県歯科医師会_シャキット! 5/29 (金) 千葉県歯科医師会からの提言

 

番組を通じて、4月中下旬と比較して、歯科医療に対する一般社会からの理解が大きく変化してきたことを感じさせられる。

 

番組中では、砂川稔会長による千葉県民に向けた「新型コロナ対策 重症化予防のための歯科からの提言」に加えて、東京医科歯科大学の戸原玄教授の

施設や在宅の要介護高齢者の方は低栄養や誤嚥性肺炎予防が大事になります。地域の(歯科医師の)先生方がそういう問題を口腔管理を通じて支えることは、ひいてはコロナ対策にもつながってくると思います。

というコメントが取り上げられており、歯科治療のみならず、まさにこれから回復基調に乗ってくるメンテナンスや介護施設における歯科訪問診療の医療としての大切さが伝えられている。

 

番組は「歯科診療を自粛している方、在宅介護や介護施設の方は、あらためてかかりつけ歯科医に連絡をしてみてください。」というメッセージで締めくくられている。

 

 

千葉県歯科医師会の活動を受けて

災害をきっかけに社会全体が面として飛躍的に変化することはあり得ず、社会の一部機能において新陳代謝、あるいはもともと予見されていた変化が加速していく。

 

COVID-19が歯科医療に与えた影響について考えてみると、歯科疾患やその人体への影響そのものに変化がない以上、歯科医療の価値や歯科医院に求められる機能は変化しない。不可逆的に変わることがあるとすれば、感染対策に対する一般社会の認識レベルが高まったことである。それはCOVID-19以前より歯科医院において必要と認知されていた感染対策を適切に行っていくことで対応できる。いわば、もともと予見されていた変化が加速するということである。

これから数ヶ月の間、歯科医療界として大切なのは、

・ 歯科医療が本来持つ価値を、再度、適切に提供できるように社会を導いていくこと

・ 歯科医療における感染対策と、それに基づいた安心感について広く社会に訴え、同時に、その感染対策レベルを歯科医療従事者自身にとってのニュー・スタンダードにしていくこと

ではなかろうか。

 

 

COVID-19の感染対策における千葉県歯科医師会の一連の活動は、この2つのポイントを抑えており、環境の変化に合わせて適切なタイミングで適切な情報を歯科内・外に向けて発信していくことの重要性を示している。そして、今回の千葉テレビによる歯科医療の取り上げられ方は、これまでの歯科医師会が発信・蓄積してきた情報の結晶とも言える内容であった。

 

歯科医師会や歯科医師連盟の会員・非会員問わず、日本で歯科医療を行う以上、全ての歯科医療従事者が歯科医師会や歯科医師連盟の活動の恩恵を何らかの形で受けている。コロナ禍をきっかけに、歯科医師会・連盟の価値を再認識した歯科医療従事者は多いのではなかろうか。withコロナ/afterコロナの時代において、歯科医療界にこれらの組織に所属し、その活動を支持することが歯科医療界のスタンダードとなることを願う。

執筆者

WHITE CROSS編集部

WHITE CROSS編集部

臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。

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