医学を補完する歯科医学には消化器官、呼吸器官、感覚器官の考察がぜひとも必要とされている。口腔の作用機序については、口全体の仕組み、咀嚼、味覚、嗅覚の仕組みを明らかにし、口腔内のバイオフィルムとの戦いにおいては、口腔細菌の仕組みをとらえる必要がある。口腔の疾患においては改めて、う蝕、歯周病、咬合障害、口腔腫瘍を解説し、最後に口腔が引き金となる全身疾患の関連と多岐にわたるテーマを体系的に捕らえた書である。
1医学を補完する歯科医学
中原　泉

2消化器官の作用機序
口腔から肛門までのプロセス
石野祐三子、菅野健太郎

3呼吸器官の作用機序
口腔から見た呼吸器との関わり
坂東政司、杉山幸比古、高久史麿

4感覚器官の作用機序
1)口腔のしくみ
松本茂二

2)眼のしくみ
吉野真未、ビッセン宮島弘子

3)耳・鼻のしくみ
五十嵐文雄

4)皮膚のしくみ
上出良一

5口腔の作用機序
1)歯の機能・形態と口全体のしくみ
歯はなぜ2回生えるのか
下野正基

2)咀嚼のしくみ
消化器系内の機能的連携を中心に
服部佳功、水戸祐子、渡邉　誠

3)味覚のしくみ
(1)口腔と舌との関連
松本茂二

(2)大脳・歯根膜との関連
松本茂二

4)においのしくみ
(1)においの受容機構とその情報処理
井上　誠

(2)口臭(生理的・病的・自臭症)との関連
上田雅俊

5)口腔内バイオフィルムとの戦い
口腔細菌のしくみ
奥田克爾

6)口腔の疾患
(1)う蝕
桃井保子

(2)歯周病
島内英俊

(3)咬合障害
加藤　熈、綱川健一

(4)口腔腫瘍
熊澤康雄

6口腔が引き金となる全身疾患との関連
1)糖尿病
稲垣幸司、林　潤一郎、石原裕一、野口俊英

2)誤嚥性肺炎
その予防と口腔ケア
米山武義

3)心冠動脈疾患
石原和幸

4)早産・低体重児出産
和泉雄一、古市保志、野口和行、長谷川　梢

5)骨粗鬆症
竹内　宏

7歯科医学と生命の結びつき
1)医歯の分水嶺
─医科と歯科は如何に分かれたか
中原　泉

2)口腔科学を知る
鴨井久一

3)歯科医療の再生(iPS、GTR、エムドゲイン(R)、インプラント、全身疾患への応用)
山田陽一、上田　実

4)医療の質・安全の取り組み
海野雅浩

5)歯科医師の倫理・職業倫理
(1)歯科医師の法とコンプライアンス
郷原信郎

(2)歯科医師の境位
須藤文弘

8どう変わる歯科医療の未来
1)大学での取り組みと未来像
花田信弘

2)大学での取り組みと未来像
樋口勝規

3)学会での取り組み
歯科における「歯」、「口腔」、「全身」の位置づけ
瀬戸晥一

4)トランスレーショナルリサーチ(TR)と歯科医療との関わり
鴨井久一

5)厚生労働省での取り組み
日髙勝美

6)厚生労働省での取り組み
小椋正之

7)日本歯科医師会での取り組み
(1)歯科医師会での取り組み
箱崎守男

(2)新しい成人歯科保健への取り組み
深井穫博

(3)医療計画への取り組み
角町正勝

9歯科医療の変革
1)アンチエイジングと歯科との関わり
王　宝禮

2)介護保険と今後のあり方
尾崎哲則

3)国際医療貢献の現状と展望
宮田　隆

10歯科保健医療の課題と展望
宮武光吉

編集後記
索引