歯科医院の接遇ポイント! #2 感じ良い話し方を心がけよう / WHITE CROSS編集部

この記事のポイント

・「感じ良い」と感じてもらう話し方のコツは、話の内容に合わせて表情や声のトーンを効果的に変化させること。

・好印象を与えるポイントや正しい言葉遣いを押さえて、わかりやすく丁寧な話し方を心がけることが重要。

・二人一組で行う感じ良い話し方のための実習方法をたっぷり掲載。

 

はじめに

株式会社M&D医業経営研究所で医療接遇アドバイザーを担当しております、河野由美子と申します。本企画では「歯科医院の接遇ポイント」と題しまして、歯科医院での接遇についてご紹介していきます。第2回では、「感じ良い話し方」についてお伝えします。

 

接遇における話し方のポイント

患者さんとのコミュニケーションが上手な人は、話の内容に合わせて表情を効果的に変化させています。好感をもたれる自然な笑顔をベースに、深刻な話をするときはシビアな表情と落ち着いたトーンで話し、楽しい話をするときは明るく笑うなど、表情が豊かで活き活きとしていることが特徴です。

 

逆に、無表情のまま淡々と話したり、不快感すら与える暗い表情で話したりすると、患者さんにとって有効な内容を伝えていてもすべてが台無しになってしまいます。

 

歯科医院は単純に患者さんの口腔内に向き合うだけでなく、症状や治療に伴う心の不安にも寄り添う役割があります。伝える内容はもちろん、患者さんに好印象を与える話し方や表情も重要となるのです。

 

話し方は人柄でもあり、話し方一つで患者さんの気分を良くしたり、逆に一気に不愉快にさせたりします。

 

忙しい診療の中でも患者さんへの配慮を失わず、思いやりのある話し方で親しみやすいスタッフになって、患者さんをファンにしましょう。

 

 

 

1.患者さんに好印象を与えるポイント

自然な笑顔と機嫌の良く見える表情を心がける

・あいさつは丁寧にハッキリする

・診療時間中に患者さんのお名前を呼ぶことで自己重要感を感じてもらう(初めと終わりの最低2回)

・清潔感のある髪やメイクを心がけ、身だしなみに気を配る

・患者さんと目を合わせてハキハキと話し、あいづちを打つ

・ご容体を尋ねてみる

 例:「前回○○をしましたが、その後お変わりはありませんか?」

・時には軽い雑談をしたり、「大丈夫ですよ」と笑顔で伝えたりすることで明るさを表現する

・話すスピードは患者さんに合わせ、特に早口にならないよう注意する

・歯科医療従事者として自信を持って堂々と明確に話す

・言葉は丁寧に使う

 NG例:×「~です?」

    ○「~ですか?」 

・スタッフ同士でも敬語「です/ます」で話す(タメ口・あだ名呼びはNG)

・語尾を伸ばさない

 

 

2.分かりやすい話し方のポイント

・適切な間を設ける

・患者さんを参加させ、一方的にならないよう注意する

会話=キャッチボール」であることを意識する

 例:「○○さんは、○○って聞いたことがありますか?」

・声のトーンの目安は「ソ」の音程で、適度な音量で話す

・抑揚やリズムをつけてメリハリを意識する

・ゆっくりめに丁寧に話す

・重要な話がそれた場合や、患者さんが分からない表情をしている時は、繰り返して伝える

・患者さんへ理解の確認を行う

 例:ここまでで分からないこと(ご質問)はありませんか?」

・専門用語ばかり使わず、分かりやすい言葉を使う

・一文に含めるのは一つの情報にし、できるだけ短くする

・回りくどくならないように「なので/ですが/のため/つまり」などの多用は避ける

5W1H(誰が/いつ/何を/なぜ/どのように)を意識する

・話の組み立て方を意識する

 タイトル:○○についてご説明いたします。

 結論  :結論としては、△△は○○ということです。

 内容  :それは、〜が〜で、〜だからです。

 まとめ :ということで、○○という治療をします。

 

 

3.丁寧な話し方

以下に、よく使う話し方と気をつけたい表現をまとめています。

 

 

 

 

 

4.滑舌良くハキハキ話す

マスクの下からでも患者さんが聞き取りやすいように、滑舌良く話すことも大切です。

滑舌を良くするために、早口言葉で滑舌を鍛えましょう。

 

①生麦 生米 生卵(なまむぎ なまごめ なまたまご)

②青巻紙 赤巻紙 黄巻紙(あおまきがみ あかまきがみ きまきがみ)

③この竹垣に竹立てかけたのは 竹立てかけたかったから 竹立てかけた

 

 

5.改まり語

改まり語とは、改まった場面で使用する言葉です。改まり語を使うことで、前後も必然的に丁寧な敬語になります。 

 

・一昨日/昨日(さくじつ)/昨夜/本日/明朝/明日(あす)/明後日  

・先ほど/後ほど/先日/後日/以前/今後/これまで 

・こちら/あちら/そちら/どちら

・前回/今回/このたび/次回

・ただいま/早急に/取り急ぎ/まもなく

・では/それでは  

・どのような/いかがいたしますか

・少々/些少/多大  

・失念(しつねん)する

・お詫びいたします

・お子様/ご年配

 

 

6.クッション言葉

 前置きとしてクッション言葉を使用することで、相手にやわらかく伝えることができます。

 

①失礼ですが/すみませんが/恐れ入りますが/お差支えなければ/よろしければ/お手数ですが/ご足労ですが/お忙しいところ申し訳ございませんが

②申し訳ございませんが~いたしかねます/~できかねます/せっかくですが/あいにくですが/残念ですが/ご容赦ください/お役に立てなくて/行き届かなく

③ご遠慮ください/ご容赦ください    

④よろしければ、お手伝いいたしましょうか?/私にできることがありましたら、〜

 

 

7.ドアノブ質問 

ドアノブ質問とは、診療の終わりに「ほかにありませんか?」と患者さんへ問いかける質問のことです。医療面接技法の専門家が使うテクニックで、診療行為の中で患者満足度向上にもっとも効果的なアクションであるといわれています。

 

また、ユニットサイドで行うことで、会計での時間短縮にも役立つメリットがあります。

 

 

実習

前述の項目ごとに振り返り、二人一組で感じ良い話し方を練習しましょう。

 

 

1.呼びかけとあいさつ

患者さんに好印象を与えるポイントを意識しながら、自然な笑顔でお名前を呼びかけ、丁寧にあいさつをします。

 

受付の方は初診受付の流れ、歯科助手の方はご案内や誘導、歯科医師や歯科衛生士の方はご容体を伺ったり、主訴を聴き取ったりするなど、感じ良く心を込めて話しましょう。丁寧なあいさつをしながら、患者さんのその日の顔色や体調などをよく見て、気がついたことがあれば、尋ねてあげるのがポイントです。

 

 

2.各職種と患者さん役でロールプレイングを行う

わかりやすい話し方を意識して、それぞれの職種として患者さんに説明してみましょう。患者役の方は、相手の声のトーンやスピード、わかりやすさ、一方的でなくキャッチボール会話になっていたかなどを検証して、長所や直した方たよいところを伝えてください。

 

 

3.理想の話し方を声に出して練習する

丁寧な話し方の表にしたがって、声に出して読み上げることで耳慣れしましょう。気をつけたい話し方も声に出して読み上げます。

他にも、日頃当院の中で直した方がよい話し方や統一したい話し方があれば書き出して共有しましょう。

 

 

4.滑舌を良くする

滑舌良くハキハキと話すために、早口言葉を3回連続で練習しましょう。

 

 

5.改まり語を声に出して練習する

改まり語をしっかり声に出して言って、耳慣れと同時に脳に擦り込みましょう。普段から改まり語が自然と口から出てくるように、何度も練習します。

スタッフが丁寧な話し方をすることで、医院全体の品が上がります。

 

 

6.クッション言葉の練習

クッション言葉も声に出して練習します。心を込めて、表情も豊かになるように意識しましょう。

無表情や素っ気ない態度にならず、患者さんの身になって言ってみるのがポイントです。

 

 

7.ドアノブ質問

患者さんのお名前を呼び(自己重要感)、ひと言問いかけましょう。

例:「では○○さん、今日はこれで終わりです。次回の治療は○○をします。」「何かききたいこと(わからないこと・ご心配・不安なこと)は、ありませんか?」

 

 

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#1 感じ良い笑顔をつくろう

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