本書は、ティッシュエンジニアリングの第一人者であり、その臨床の第一線にいるRobert E.MarxとArun K.Gargによる多血小板血漿(PRP)の成書である。SECTION1では、PRPの作用機序、臨床的効果および製造法が、SECTION2では歯科手術における骨再生の促進、軟組織再生、SECTION3では、PRPの頭蓋顔面への応用が解説されている。スタンダードな構成ではあるが、PRPをよりアカデミックに、かつ網羅的に理解できる。
SECTION 1.多血小板血漿(PRP)の科学
第1章　血小板の生物学と多血小板血漿(PRP)のメカニズム
　歴史的展望
　血小板
　増殖因子に関連したPRPのメカニズム
　血小板に含まれる増殖因子の特徴
　PRPとは何か
　骨再生(bone regeneration)時の血小板とPRPの作用機序
　骨再生時に及ぼすPRPの臨床的効果
　軟組織の治癒に及ぼすPRPの効果
　オッセオインテグレーションに及ぼすPRPの臨床的効果
　骨代用物を用いた骨再生に及ぼすPRPの効果

第2章　多血小板血漿(PRP)の製造と臨床上の重要性
　初期のPRP
　血小板の分離と濃縮の原理
　PRPの保存と活性化
　どのPRP装置が最良か

SECTION 2.PRPの歯科への応用
第3章　歯科手術における骨再生の促進
　上顎洞底骨移植
　歯槽堤増大骨移植
　第三大臼歯の抜歯窩
　歯周組織欠損の治療
　歯槽堤の保存

第4章　歯科治療の軟組織再生
　インプラント手術での軟組織の弁
　遊離歯肉移植
　結合組織移植
　歯根被覆のための歯冠側移動弁の同種真皮

SECTION 3.PRPの頭蓋顔面への応用
第5章　大きな腫瘍と外傷に関連した欠損の再建
　下顎骨の再建
　上顎と顔面中央部の再建
　唇顎口蓋裂の顎裂部骨移植
　高度に吸収した下顎の再建

第6章　軟組織、頭蓋側面への応用
　しわ取り術
　眼瞼形成術
　皮下脂肪移植

　付録　静脈注射法とPRP製造のための同意書
　索引