令和2年の診療報酬改定で、「口腔機能発達不全症」は、離乳完了前と完了後に分けて評価することになっています。これは、小児の口腔管理に係わるものは哺乳の段階から乳幼児の口腔機能発達の問題点を早期に発見し、指導改善することを目指すものであります。しかし離乳完了前の段階については大学の講義でも詳細には触れられていないのが現状です。乳幼児の口腔機能発達について指導する立場の医療従事者は、咀嚼機能発達の原点に戻り口腔解剖や生理をより深く理解しておく必要があります。機能発達の正常像を理解していないと、異常なあるいは遅延した機能発達に対して、適切な指導ができないからです。これまで演者は、乳児の吸啜から小児の咀嚼機能発達までを検査し、多くの発表を行ってきました。本講演では、これらの成果をもとに他研究者のエビデンスも含め、最新の知見を解説したいと思います。