今日成人の包括的な歯科治療においては矯正専門医と一般歯科医師とのよりよい連係が求められており、歯科医療のなかにより矯正治療を生かすことを意図して企画された。日常臨床のフィロソフィーのなかに歯科治療と矯正治療との連係を構築しておられる先生方64人により執筆された画期的な書。
I　成人の矯正治療を考えるために
7　成人の矯正治療と社会状況花田晃治
12　歯科疾患と成人の咬合加藤　所G/本郷興人
20　歯髄と歯周組織と加齢の病理山崎　章
II　成人の矯正治療のすすめかた与五沢文夫
45　成人の矯正治療をすすめるにあたって両川弘道
46　上顎前突症例晝間登喜男
50　空隙歯列症例晝間登喜男
54　上下顎前突症例若松進治
58　叢生症例織田紘太郎
62　開咬症例織田紘太郎
66　下顎前突症例森田修一
70　リンガルブラケット法香村立也
74　唇顎口蓋裂の矯正治療―成長期を過ぎた永久歯列期について―本橋信義
III　歯周治療・補綴処置と矯正治療の連携
83　歯牙移動をいかした包括治療筒井昌秀/筒井照子
99　歯の移動における歯周組織の反応吉江弘正/原　耕二
107　矯正装置とフォースシステム篠倉　均
115　矯正治療中の歯周組織の変化Bjorn Fontenelle
129　歯周組織の改造を伴う臼歯支台歯の近心移動Alain Fontenelle
147　歯列不正と歯周病―歯周-矯正治療の臨床的接点―稲垣幸司/鈴木　衛/吉成雅子/渡辺いく子/八木宏暢/吉井佐織/大野友三/野口俊英
159　歯の挺出移動John R Van Venrooy/RL Vanarsdall
167　骨縁下欠損を挺出移動により改善した症例本村泰雄
175　補綴前処置としての歯牙移動羽田房子
180　接着技法を応用した矯正治療後の固定と欠損補綴片山隆昭
185　挺出こそ成人矯正の要である―歯周疾患に配慮した成人の矯正について―菊池　哲/岡田清親/日暮尚樹
192　上顎前突の一症例から佐藤　武
196　前歯の審美障害を回復した歯周疾患の一例上野秀夫
201　歯周疾患を伴う前歯部の前突・歯間離開を呈する二症例山下皓三
206　歯の移動による歯周組織の改善と審美性上野道生
214　大臼歯の近心移動百瀬　保
221　歯科インプラント治療と術前矯正福原博一/能見好彦/松田哲明
227　補綴的、外科的に治療した骨格性下顎前突症例の機能分析―10年にわたる経過報告―Ingrid Grunert/Christia Krenkel/Ernst Waldhart
IV　顎関節機能と矯正治療
237　顎関節症について―矯正治療と顎関節症発症に関する考察―杉崎正志
247　顎機能異常者の下顎運動分析野村修一
258　顎関節症患者に対するカウンセリング伊藤学而/小椋幹記/能見好彦
266　顎関節症患者の矯正治療例から町屋仁躬
276　顎関節症と矯正治療に関するWyattとRinchuseの論争について亀谷哲也
V　外科的矯正治療
281　外科的矯正治療の位置づけと適応症花田晃治
288　外科的矯正治療―とくに垂直的な咬合異常を伴う症例について―菅原準二
295　術前矯正治療で併用する外科処置寺田員人
302　外科的矯正治療と補綴治療の併用大畑　昇/中村進治
308　コルチコトミーを伴った矯正治療大西正俊
312　矯正外科併用治療を行った著しい下顎の開大を伴う上顎前突の治験例について和田昌久/古賀正忠/瀬端正之
VI　改めて成人の歯科治療を考える
323　改めて成人の歯科治療を考える編集部
325　顔と口もとの社会心理学的側面大山喬史
331　歯科治療に対するニーズの変容田中貴信