本イベントは、この10年で歯科医療がどのように進化したのか、そしていま“最善“とされる考え方や技術は何かを、1日で学べる貴重な機会です。
当日は、Cureセッション(保存修復、補綴、デジタル等)とCareセッション(歯周基本治療、メインテナンス、ホワイトニング等)の2会場にて、各分野の専門家が「10年前との変化」と「これからのスタンダード」を徹底解説!歯科医師・歯科衛生士の皆様、ぜひご参加ください。
▼Cureセッション(7人)
三木 雄斗 先生
演題:直接修復の10年変化を読む〜接着修復の“いま”と臨床実装の判断基準〜
抄録:この10年間、接着修復に用いる材料・手技・判断基準は大きく進化してきた。ユニバーサル接着剤の普及、バルクフィルやショートファイバーの登場、選択的エッチングや修理技術の定着、高出力ライトによる時短重合など、診療室での「常識」は明確に変化している。本講演では、過去10年の主要な臨床研究・系統的レビューに基づき、接着修復の“変わったこと・変わらなかったこと”を臨床インパクト順に整理する。忙しい一般開業医が“今できる・今すべき”接着修復のアップデートを図る実践的な視点で解説する。
遠山 敏成 先生
演題:知って得するZrの選択基準と接着臨床
抄録:歯科におけるデジタル化が様々な方面で進み、作業効率だけでなく歯科技工士不足や材料高騰などの問題の解決にはなくてはならないものとなって来た。治療の分野の中でも補綴物の分野においてはアナログで作製されるものが減少傾向にあり、その反面必ずどこかでCAD/CAMが介在する様になった。それに伴いあらゆるマテリアルが世の中に登場したが、ジルコニアに関しては歯科治療のあらゆる局面で使用されるものである。ジルコニアは1000MPa以上の曲げ強度を備えたセラミック材料として、約20年前に日本の歯科界に導入されて以来、その強度と審美性の進化と共に幅広く臨床応用されて来ている。さらにCADでデザインされてミリングするというデジタルとの相性も相まって、保険診療以外では1番多く使用される材料として挙げられる。インプラントから審美歯科、MI修復まで使用される中で、歯科医師と歯科技工士の間でのジルコニア選択の知識の共有や難関とされている接着の攻略を臨床例を含めて網羅的にお話したい。
吉岡 雅史 先生
演題:技術革新が導く、新しい義歯製作のスタンダード
抄録:歯科補綴装置は、デジタルの進化に伴い過去10年間で大きな変革を遂げている。特に金属価格の高騰を背景に、審美補綴治療の主流は陶材焼付鋳造冠からジルコニア系補綴装置へ移行し、補綴材料の選択基準にも変化がみられる。また、口腔内スキャナー(IOS)の普及によりデジタル化が加速し、従来のシリコン印象からデジタル印象を前提としたワークフローが一般化しつつある。
さらに、デンチャー領域でもデジタル化が進展し、デジタルフルデンチャーの保険収載により臨床応用の広がりが期待されている。
こうしたデジタル化の進展に伴い製作工程にも変化がみられ、現在では3Dプリンターが欠かせない存在となっている。アンダーカットの多い複雑形状を有するデンチャーでは、切削加工よりも優位性が認められる場面が増えている。
本講演では、デジタル技術がもたらした利点と、依然としてアナログが有用である領域を整理しながら、最新技術により一体造形を可能にした高強度フルカラープリントデンチャーを中心に報告する。
大津 雄人 先生
演題:10年で変わったIODの見方と実践〜妥協案から戦略的選択肢へ〜
抄録:この10年で、インプラントオーバーデンチャー(IOD)に対する自分の臨床的な見方は大きく変わった。かつては「固定式が選択できない時のプランB」という位置付けであったが、経験を重ねるにつれ、患者背景や顎堤条件、長期メインテナンスを踏まえた“戦略的な第一選択肢”として再評価するようになった。特にアタッチメント選択、埋入位置と本数の考え方、咬合付与の設計、さらにトラブルシューティングの体系化は、この10年間で大きく洗練されたポイントである。本講演では、成功例と失敗例を踏まえて、IODを「妥協案」から「長期的機能を支える確かなオプション」へと変化させてきた思考の流れを整理し、若手臨床家が日常臨床で迷わないための実践的視点を共有する。
有田 光太郎 先生
演題:SHU-HA-RI 〜常識の崩壊と再構築〜
抄録:10年前、筆者の小児矯正治療はどうであっただろうか。
叢生治療といえば、急速拡大装置・床拡大装置・クワドヘリックスなどを用い、力を加えて側方拡大を行うか、あるいは機能的矯正装置によって筋のバランスを整えながら拡大を試みていた。
ヘッドギアや遠心移動装置も併用し、当時の小児矯正歯科の歴史に沿った治療を忠実に行っていたのである。
しかし、6年前に突如として現れた小児期のアライナー矯正によって、筆者の考え方は根底から覆された。
この変化は、もはや文字では表現しきれないほどの衝撃であり、いま振り返っても「常識の崩壊」と呼ぶにふさわしいものであった。
本講演では、この10年間に筆者が体験した“守・破・離”のプロセスを、臨床症例を交えながら紹介する。
かつての「守」にあった伝統的手法、そこから「破」に至る既成概念の崩壊、そして「離」として到達した新たな臨床哲学──
小児矯正におけるパラダイムシフトの全貌を狂乱しながら語り尽くしたい。
岡野 修一郎 先生
演題:温故知新 ー解釈の変換ー
抄録:主要アライナーメーカーが日本に参入しちょうど20年の節目である2026年。アライナー矯正は従来のワイヤー矯正の補助的な治療オプションという枠を超え、独立した治療体系として確立されつつある。
筆者も含めほとんどの臨床家はアライナー矯正を理解する手がかりとして、ワイヤー矯正を通して培われた生体力学理論や治療概念、過去触れてきたアライナー矯正の臨床哲学を無意識のうちに参照し、そこに解釈を委ねる。
しかし症例を重ね、ソフトウェアやデジタル技術の進歩とともにCBCTデータ等から従来より解像度高く臨床を見つめ直す中、生体反応や設計思想は従来理論の単純な延長線上では説明し得ない領域に触れ、解釈の変換を求められることに直面した。
ロジカルに構築された従来の理論という「故」を盲目的に守るのではなく、その本質を自らで問い直し、新たな治療体系の中で再定義すること──そこにこそ温故知新の本質があると考える。本講演では、筆者自身の臨床的思考の変遷を症例とともに振り返り、アライナー矯正の現在地と未来に向けた臨床哲学を共有する。
熊川 貴昭 先生
演題:ワンオペ歯科医院経営が描く10年の進化と本質
抄録:10年前、歯科経営の『最善』とは、スタッフを育て、医院を拡大するヒューマンパワー中心のモデルを確立することでした。
しかし少子高齢化・人手不足・デジタル技術の急速な普及で、その常識は大きく変わりました。
今求められる『最善』とは、規模ではなく「持続性」と「再現性」。限られたリソースで質を高める、効率経営と個の力の最大化です。
本講演では、私自身が実践する『ワンオペ歯科医院経営』を軸に、10年前には想像できなかった「無人受付」「AIカルテ記録」「外部委託」などの導入プロセスと、その根底にある「人の温度を失わない経営」をベースに「高収益×省人化」モデルの実例をお話しします。変化の激しい時代において、過去の最善を敬いながら、いまの最善を見極める──その視点を共有します。
▼Careセッション(8人)
蓮池 聡 先生
演題:エビデンスが教える予防歯科の新常識〜10年前と何が変わった?〜
抄録:予防歯科の核心は、「患者さんが無理なく続けられる方法で、口腔の健康を長く守ること」です。この根本は変わりませんが、細かな“常識”はこの10年で大きく更新されました。予防は、う蝕や歯周病といった個々の疾患対策にとどまらず、生活習慣・セルフケア・長期的な健康管理を含む、より広い視点で捉える領域へと発展しています。定期管理の来院間隔も、従来の“一律”ではなく、患者さんのリスクや口腔内の状態に応じて設計する考え方が求められるようになっています。ホームケアでは、電動歯ブラシや洗口液の使用が推奨されています。歯周メインテナンスでは、組織への負担が少なく快適にバイオフィルムを除去できるサブジンジバル・エアポリッシングが広く普及しています。さらに、口腔は全身と深くつながる“入口”としての重要性が再認識され、全身の健康を見据えた予防的アプローチがより注目されるようになっています。本講演では、歯周病専門医の立場から、予防歯科全般に活かせる最新のエビデンスをわかりやすく整理し、明日からの臨床で実践できるヒントをお伝えします。
落合 真理子 先生
演題:歯周基本治療を自分の力に変える〜“治せる力”が、歯科衛生士のキャリアを支える〜
抄録:近年、歯科衛生士の働き方は大きく変化し、多様なキャリアや自由な働き方が注目されています。
しかし、どのような道を選んでも、歯科衛生士としての根幹を支えるのは「歯周基本治療を正しく理解し、実践できる力」です。
歯周組織検査、SRP、SPTに至るまでの一連の流れを自分の言葉と手技で説明・実践できることが、“治せる歯科衛生士”としての自信と信頼につながります。
本講演では、歯周基本治療の本質と臨床での考え方、成長のステップを整理しながら、日々の臨床を「学び」から「力」に変えるヒントをお伝えします。
“治せる力”を土台に、自分らしいキャリアを築くための第一歩を一緒に考えていきましょう。
吉久保 典子 先生
演題:歯科衛生士のOHIはここまで進化した!〜デジタル技術による新しいプラーク評価法〜
抄録:歯科臨床で用いられているオレリーのプラークコントロールレコード(PCR)は、計算が簡便で数値化しやすいことから、約50年ほど前から保険診療で採用されてきました。当たり前のようにOHIで活用してきたPCRですが、評価の過程ではどうしても術者の主観が入りやすく、結果にばらつきが出やすいという課題を感じてきました。果たしてこれは本当にあてにできる結果なのだろうか?PCRの数値は実際の口腔内の状況を正しく反映していると言えるのか?そんな疑問から、私はこんなことを考え始めました。「デジタル技術やAIが進化している今、IOSで取得した口腔内画像をもとにプラーク付着率を自動算出できれば、術者の感情や経験に左右されない客観的な評価が可能になるのではないか?」
本講演では、IOS初心者の方にも分かりやすく基本機能から解説しながら、私が監修した新しいプラーク評価法「DPI(デジタルプラークインデックス)」の機能を用いたOHIの実践例をご紹介します。患者さんの理解と行動変容を促す、新しいプラーク評価の形を皆さんに共有したいと思います。
黒川 綾 先生
演題:現状の日本におけるメインテナンスの目的
抄録:少子高齢の一途を辿る現代の日本で歯科医療に求められていることは、国民皆歯科検診の検討が進められていることからも分かるように、歯の保存と口腔機能の維持で健康寿命に寄与することである。社会保障制度が充実しているからこそ、平均寿命は延伸した。その良い結果の裏で、口腔内が追いついていないことが表面化した。歯科治療を受けたと考えられる方は医科での保険点数が少ないというデータをもとに、口腔機能が良好であることは健康寿命に良い影響を及ぼすと予想されることから、今求められるメインテナンスは単純に予防処置を行うのではなく、評価考察を行い喪失を防ぐことはもちろん、口腔機能を長期的に守る提案、健康寿命延伸の情報提供までも行うことであると考える。長期の安定を維持している実際の症例を供覧し、診るポイントとリスクの抽出の重要性、患者の意識改革の方法を共有をできたら幸いである。
黒田 敏樹 先生
演題:医療ホワイトニングの昔と今~白さ革命!10年で変わった白さのアップデート~
抄録:本講演はホワイトニングの歴史的変遷とその臨床的意義について症例を交えて整理したものである。日本国内認可ホームホワイトニングは2001年のNITEホワイトエクセルに始まり、数種類のホワイトニングが登場し、最近では高濃度過酸化尿素や過酸化水素を用いたホームホワイトニングやカスタムトレーの不要な既成トレーやジェルシート型製品が普及している。認可オフィスホワイトニングは1997年の松風ハイライトを皮切りに、5種のオフィスホワイトングが展開されてきた。ここにポリリン酸を使用するホワイトニングなども加わった。 ホワイトニングは審美効果にとどまらず、耐酸性向上、再石灰化促進、エナメル質保護、不溶性グルカン合成阻害、バイオフィルム殺菌など多面的な効能を有し、齲蝕や歯周病予防にも寄与することが報告されている。さらに、ホワイトニングを契機とした定期的なメンテナンス受診は口腔衛生意識を高め、長期的な歯の健康維持にもなり今後の臨床応用拡大が期待される。
井上 ゆう 先生
演題:ポリリン酸ホワイトニングの昔と今 〜その時代を生きてきた私が語る、ポリリン酸の応用と進化〜
抄録:ポリリン酸ホワイトニングは「歯にやさしいホワイトニング」として注目され、セルフホワイトニングの普及で一般にも身近になりました。しかし、“同じポリリン酸”と聞くと同じ効果が得られるように感じますが、実はセルフと医療では目的も安全性も、そして得られる白さも全く別物です。本講演では、ポリリン酸ホワイトニングの歴史を振り返り、セルフと医療の違いを整理します。さらに、ポリリン酸の魅力と限界、そしてホワイトニングが患者さんに自分のお口に関心を持たせるツールとしての役割についても紹介します。歯科衛生士の目線から、ポリリン酸ホワイトニングの進化と応用を、臨床で役立つ形でわかりやすくお伝えします。
鈴木 美帆 先生
演題:ティース・ジュエリーが変える歯科衛生士の未来〜若年層来院の新導線と自費診療の可能性〜
抄録:歯科業界では、治療中心型と美容・予防型の二極化が進み、医院経営にも大きな影響を与えています。保険診療だけでは収益構造が安定しにくい中、自費診療の拡充は多くの歯科医院にとって重要な課題となっています。ティース・ジュエリーは、美容志向の若年層が歯科医院へ足を運ぶ新しい導線となり、来院促進と自費診療強化の両面で貢献できるメニューです。本講演では、ティース・ジュエリー導入の実際や衛生面のポイント、施術をきっかけに変化する患者の心理や口腔意識の向上について具体的に紹介します。また、歯科衛生士が「歯を守る」だけでなく「歯の価値を高める」提案者として新たな役割を担うことで、医院の経営に寄与し、自身のキャリア形成にもつながる可能性についてお話しします。
長内 香織 先生
演題:歯科院でできるリップアートメイクとは〜美と健康の関わり〜
抄録:本セミナーでは、歯科衛生士が活躍の場を広げる新たな分野「リップアートメイク」についてわかりやすく解説します。
口元の健康と美しさの関係、歯科医院で行う医療アートメイクの実際、安全で美しい仕上がりを実現するための歯科的視点をお伝えします。
また、歯科衛生士ならではの施術アプローチや、患者満足度を高めるカウンセリングの工夫、導入している医療機関の事例もご紹介。
審美と医療をつなぐ新しいキャリアの可能性を、一緒に考えていきましょう。
レビュー
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歯科医療人
三木 雄斗
歯科医師
坂寄歯科医院 院長
遠山 敏成
歯科医師
マイスター春日歯科クリニック 理事長
吉岡 雅史
歯科技工士
株式会社コアデンタルラボ横浜 勤務
大津 雄人
歯科医師・博士(歯学)
大津歯科医院 院長
有田 光太郎
歯科医師・博士(歯学)
医療法人有光会 ありた小児歯科・矯正歯科 院長
岡野 修一郎
歯科医師
青山アール矯正歯科 勤務
熊川 貴昭
歯科医師
日本橋中央歯科 院長
蓮池 聡
歯科医師・歯学博士
日本大学歯学部 専任講師
落合 真理子
歯科衛生士
K'sシャープニング代表
吉久保 典子
歯科衛生士
小池歯科医院 勤務
黒川 綾
歯科衛生士
株式会社プラスアルファ 代表
黒田 敏樹
歯科医師
医療法人社団輝樹会 理事長
井上 ゆう
歯科衛生士
鈴木 美帆
歯科衛生士
長内 香織
歯科衛生士
医療法人社団 麻布東京デンタルクリニック 歯科衛生士長


