超高齢社会がさらに深まる昨今、義歯は難しいなどの理由で安易にインプラント治療に傾き、結果としてマスコミのインプラントバッシングにみられる社会的制裁を受けるケースも決して少なくない印象を持ちます。私はこのようなインプラント治療隆盛の中、老人特有の病態や年金の問題等社会的情勢にも鑑み、多数の老人が望む負担費用の少ない義歯作製に力を注いで参りました。

その吸着性から”すっぽん”のように一度食らいついたら外れない「すっぽんデンチャー」と名付けられた当院の総義歯はこれまで1,000症例以上を数え、保険範囲内の総義歯でも十分な吸着が得られ、リンゴさえも丸かじりできる総義歯と自負しています。

前回までの講演は様々な顎堤に対応したすっぽんデンチャーの優位性について話させていただきました。本講演ではすっぽんデンチャー作製の基本的技術修得に的を絞り、比較的吸収の少ない安定した上下顎無歯顎症例を用いて初心者が犯しやすい失敗症例を供覧し、その勘所を可能な限り詳しく教示する予定です。また今回はアドバンスとして最新の知見を加え、さらに、より安定した総義歯臨床術式を修得していただく予定です。

最後にQ＆Aとして過去5年にわたるこれまでの先生方の質問に対して私が答えるコーナーを設け疑問点の解決に努めて参ります。
参考までに「今井式すっぽんデンチャー」とYou Tube による動画を検索してください。私の総義歯に対する考えの一端がご理解いただけるものと思います。