保存的で生物学的許容性の高い歯科治療を示す「シリーズ MIに基づく歯科臨床」の第3弾。「科学」(science)と「術」(art)とは、歯科治療でよく用いられる言葉である。コンポジットレジン(CR)修復にはこの言葉がことのほかよく似合う。どんなすぐれた審美修復も乏しい材料学的知識の前には意味をもたないし、逆に、すぐれた知識をもち合わせていても、乏しい技術の前にはその真価を発揮できない。
献辞
序

CHAPTER 1　コンポジットレジンが可能にした機能と審美の回復
コンポジットレジン修復の適応症

CHAPTER 2　コンポジットレジンの物性
歯質と歯科修復材料の物性比較/CR 修復の口腔内での耐久性(longevity)/CR の耐摩耗性/CR の生体親和性/コンポジットレジンの変遷/変遷(1)　マトリックスレジンの改良/変遷(2)　フィラーの改良/変遷(3)　ボンディングシステムの改善(接着性モノマーの開発)/変遷(4)　変色の改善/変遷(5)　不快症状の改善/CR-CR の接着(CR の盛りたし)

CHAPTER 3　う蝕象牙質への対応
う蝕象牙質の除去/ 2 回法での対応(ステップワイズエキスカベーション)/ 1回法での対応( 1 ステップエキスカベーション)/可逆性歯髄炎と非可逆性歯髄炎の診断/直接覆髄材の選択

CHAPTER 4　コンポジットレジン修復における窩洞の条件
Black の窩洞の分類/コンポジット充填窩洞の条件

CHAPTER 5　I級窩洞のコンポジットレジン修復
小窩裂溝う蝕の修復の術式/露髄をともなうような大臼歯I級窩洞CR 充填の術式/無髄大臼歯のI級窩洞のCR 修復

CHAPTER 6　II級窩洞のコンポジットレジン修復
大臼歯II級窩洞CR 修復術式の流れ/隣接面マトリックスの選択基準/失活歯のCR 修復/乳歯のCR による歯冠修復/小臼歯隣接面う蝕のトンネル法によるCR 修復

CHAPTER 7　III級窩洞のコンポジットレジン修復
III級窩洞のCR 修復(治療の流れ)

CHAPTER 8　IV級窩洞のコンポジットレジン修復
「CR シェル法」による形態回復とCR 充填/シリコンコアを用いたCR 修復

CHAPTER 9　V級窩洞のコンポジットレジン修復
V級窩洞の特徴/V級窩洞のCR 充填術式(治療の流れ)/III級窩洞とV級窩洞のコンビネーション型窩洞のCR 充填法

CHAPTER 10　マルチレイヤーテクニック(1)
色彩学,シェードテイキング
歯のシェード/シェードテイキングに影響を及ぼす要素/シェードテイキングの方法/シェードテイキングの実際

CHAPTER 11　マルチレイヤーテクニック(2)
マルチレイヤーテクニックの実際
マルチレイヤーテクニックの実際/天然モデル歯を用いた基本的なレイヤリング(積層)の流れ/マルチレイヤーテクニックを用いた臨床例

CHAPTER 12　正中離開の是正と,歯冠の形態修整
CR による正中離開の是正術式/CR による歯冠(矮小歯など)の形態修復の術式

CHAPTER 13　外傷歯のコンポジットレジン修復
歯冠破折の治療の流れ(大きな露髄をともなっている生活歯の場合)/歯冠破折と亜脱臼が併発している場合/歯冠-歯根破折の治療方針

CHAPTER 14　無髄歯の歯冠の漂白
ウォーキングブリーチ
ウォーキングブリーチ/ウォーキングブリーチの術式/漂白効果が十分得られない症例への対応

CHAPTER 15　金属とレジンとの新しい接着強化システム
「コジェット」の臨床応用
メタルやポーセレンにレジンを接着させるには/従来のメタルとレジンの接着法/新しいシステム「コジェット」の特徴/新しいシステムを利用した修復術式/その他の適応症

おわりに
索引