現在、愛知県名古屋市のウインクあいち(愛知県産業労働センター)にて、日本アンチエイジング歯科学会の年次学術代会が開催されている。

事前予約者数が700名を超える、大きな学術大会となった。

 

「アンチエイジング」はすでに一般化した言葉となり、健康・美容・コミュニケーションなど、医療以外でも様々な場で用いられている。

そこでアンチエイジング医学の定義をするならば、元気で長寿を維持するための理論的・実践的科学ということだ。本学術大会では、Healthy Aging〜幸せな人生への架け橋〜と題し、歯科の立場から時代のニーズに応えんとする試みがなされている。

そのため、演者・参加者は歯科医療従事者以外にも、医師・芸能関係者など幅広い顔ぶれが揃うのが特徴だ。

演題

『心美歯科 〜Beautiful SmileとHealthy Agingへの架け橋〜』冨士谷盛興先生(愛知学院大学歯学部保存修復学講座特殊診療科(審美歯科)教授)

 

 

冨士谷先生は、昨今は疾病構造や患者の要求が変化した時代であると語られた。

その上で、10年後に国民に選ばれる歯科医院とは、①心美歯科、②管理型予防、③国民目線を実践できる歯科医院であるとした。

演題のタイトルにもなっている「心美歯科」とは、一言で言うなら、「歯科医療従事者が自分が受けたいと思う歯科治療を患者さんにも提供する」ということ。そこには、MI(Minimal Intervention;最小の侵襲)の概念や、説明責任、チーム医療(高度な治療の紹介)なども含まれる。

ご自身の専門である保存修復学の症例を交えながら、知識をアップデートすることの必要性や、国民に寄り添う医療とはいかなるものかについて、基調講演に相応しい軽快なテンポでお話をされた。

 

 

『超高齢社会に対応した美しい補綴治療』佐藤裕二先生(昭和大学歯学部高齢者歯科学講座教授)

 

「高齢化率」「生理的老化と病的老化の違い」「平均寿命と平均余命」など、昨今の時代を読む上でキーとなる用語について、未だ誤用が多いことを指摘し、アカデミアの見地からその定義と社会的な意味合いについて解説された。

超高齢社会に向けて、①義歯の質、②患者の機能、③患者の環境の3要素の評価が重要であるとし、ご自身の専門である補綴学・高齢者歯科学の領域について、補綴装置の疫学などのマクロな視点から、これからの時代に対応した義歯臨床など明日から使える臨床のテクニックまで、終始研究・調査に基づいたプレゼンテーションが行われた。

 

 

『ストップ・ザ・ボケ』長谷川嘉哉先生(岐阜県土岐市 土岐内科クリニック理事長)

 

医師でありながらファイナンシャルプランナーの資格を持つ長谷川先生は、保険営業マンに対する講演活動も行う認知症の専門医。
認知症は病気を診るだけでは不十分で、症状・段階・予防と治療が大事だという。その詳細は目から鱗というほど多岐にわたり、身近や自身にも起こりうる認知症の判断基準を解説された。
症状には、物忘れだけではなく、進行すると易怒性、幻覚、妄想が出現することがある。段階には、認知症には誰も気づかない早期段階から食事が取れなくなる段階までがある。これらを踏まえて臨床に当たることが求められるようだ。



『審美と機能の回復と永続性』西村好美先生(デンタルクリエーションアート 代表 歯科技工士) 

 

歯科衛生士と歯科技工士のダブルライセンスを持ち、自ら「にしむら塾」を主宰する西村先生は、審美歯科治療に対する患者のニーズが高まる今の時代での治療の「成功」を話された。
ダブルライセンスを持つ西村先生だからこそ、補綴装置製作者の技工士としての観点と、その装置をいかに長持ちさせるか衛生士に求めるメンテナンスという観点で分かりやすく解説された。

 


『審美補綴物を美しく保つメインテナンス法〜DHの重要な役割〜』松丸友貴先生(銀座UCデンタルインプラントセンター 歯科衛生士)

 

インプラントのメインテナンスを得意とする松丸先生は、インプラント上部構造からメインテナンスにおいて、歯科衛生士が何を“診て”何を“選択”して補綴物を守っていくのか、具体的な症例をあげて解説された。

 


『患者様を幸せな笑顔を導くOFR〜筋膜コラーゲンへアプローチする新たなスタイルの美容と予防〜』浜島由美先生(一般社団法人日本オロフェイシャルリリース協会 理事長 歯科衛生士)

 

歯科衛生士であり、日本オロフェイシャルリリース協会代表でもある浜島先生は、近年注目されている「筋膜」のスペシャリスト。

まだ科学的根拠の乏しい分野ではあるが、顎関節症や肩こりの原因因子として注目される筋膜は表情筋にも存在し、それによって笑顔の質が左右されてしまうという。新しいコンセプトからアンチエイジングを提案された。

会員発表

友枝亮先生(友枝歯科クリニック/平尾アンチエイジング研究所院長)『低濃度過酸化水素漂白ジェルと歯面冷却可能な高出力ブルーパルス光によるホワイトニングの検討』
篠原啓之先生(エス・デンタルクリニック)『いつものパンが歯ぎしりを起こし歯を失くす』
石川一郎先生(医療法人社団HAPPY&SMILE いしかわ歯科)『迅速・簡単・快適・しみない・環境にやさしいオフィスホワイトニングの検討』

 

友枝亮先生『低濃度過酸化水素漂白ジェルと歯面冷却可能な高出力ブルーパルス光によるホワイトニングの検討』

 

篠原啓之先生『いつものパンが歯ぎしりを起こし歯を失くす』

 

石川一郎先生『迅速・簡単・快適・しみない・環境にやさしいオフィスホワイトニングの検討

Dr.WYNN(アメリカ審美歯科学会元会長)よりメッセージ

Dr.WYNN(中央)と学会長の松尾通先生(左)

 

アメリカ審美歯科学会(AACD;American Academy of Cosmetic Dentistry)で会長などを歴任された、Dr.WYNN H.OKUDAが本学術大会に参加していた。

Dr.WYNNは、本学会会長の松尾通先生と懇意であり、今回日本の歯科医師に向けて特別にメッセージをいただいたので、ご紹介したい。

 

「AACDは35年前に組織され、今では世界中に8,000人のメンバー(うち日本人100)の参加があります。日本のドクターへ。

歯科治療は、エステティックだけでなくhealth, function,beautyのバランスが大事です。ご自身の患者さんのために、ベストを尽くしてください。私は今、ドメスティック・バイオレンスが原因で不幸にも口腔機能に障害をもってしまった方に無償で歯科治療を提供する試み“give back smile”にチャレンジしています。すでに2億円の投資が集まりました。日本でも、これからはチャリティーなどで社会貢献していく必要があるかもしれません。大丈夫。いい仕事にはいい報酬が待っています。」

アンチエイジングアワード授賞式

左から、阿部馨三大会長、日本カバヤ・オハヨーホールディングス株式会社代表取締役社長野津基弘氏、中尾ミエさん、2009年度受賞の加藤タキさん、松尾通学会長

 

アンチエイジングアワードとは、本学会の選考委員会が「歯科的に健康であること。」「心身共に美しく、健康的に年を重ねていること。」「広く国民に好感を持たれていること。」を選考基準として、毎年学術大会の際に授与する賞である。

過去の受賞者には、加山雄三さんやさだまさしさんなどの著名人が名を連ねている(詳細はこちら

 

2017年度の受賞に輝いたのは、歌手で女優の中尾ミエさん。
本受賞のためにドレスを新調したとのことだ。
受賞時のコメントでは、戦後の混乱の中むし歯ができやすかった思い出話から、現在定期健診をしている歯科医院の話など、歯科との関わりについて語られた。また、その美と健康の秘訣について尋ねられると、自分の身体は自分で守るという自助努力の精神や、運動(水泳)の重要性について、中尾さんらしい軽快な語り口で話された。
代表曲である『可愛いベイビー』を含む3曲を熱唱され、会場からは歓声と盛大な拍手があった。

 

 

大会は本日も行われ、多くの演者が登壇予定。
詳細は以下よりご覧になれます。ぜひお誘い合わせの上ご参加ください。
2日目のレポートは大会終了後に配信の予定です。

 

 

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