2016年における歯科用レーザーの累計販売台数は約28,000台となっている。

そのうち炭酸ガスレーザーは61.4%を占め、日本国内において最も普及している歯科用レーザーと言える。

(株式会社アールアンドディー「歯科機器・用品年鑑」2016年版より)


歯科用レーザーに関わる術者は、その特徴をよく理解し、有効的に使用できているだろうか。
今回は北海道医療大学で行われたレクチャーより、すべての年代の先生を対象に、炭酸ガスレーザーの特性から必ず気をつけなければならない注意事項までを再確認する。

 

 

過去の記事はこちら

『歯科用レーザー総論 〜レーザーとは〜 』

『歯科大学における歯科用レーザー教育が始まる』

特性

波長は10.6nm、中赤外域の組織表面吸収型のレーザーである。

 

照射対象物の色に関係なく吸収され、特に水によく吸収される。水分の多い組織に照射すると熱エネルギーに変換され瞬時に高温に達し、蒸散・炭化する。

 

水分に吸収されやすいため組織浸透性が少なく、深部組織への影響が少ないことが特性として挙げられる。

生体組織の切開、止血、凝固及び蒸散効率に優れ、それらを目的に用いられることが多い。


照射した組織における変化は次の通りである。

まず、組織にレーザーが吸収され、熱エネルギーに転換される。すると、PDR(photobiodestractive reaction : ;光生物学的破壊反応)として蒸散・凝固壊死という形で組織破壊が行われると同時に、血管においては変性凝固により血管閉鎖される。
止血効果としては、直径0.5mm以下の静脈において可能とされている。

生体に照射した場合、光の浸透深さは500μ以下で熱凝固層は比較的薄いが、歯科における日常臨床では止血効果に不足はない。リン酸基に対しても吸収特性があり、歯面への照射により歯質改善も期待できる。

歯科領域では外科的利用法だけでなく、PAR(photobioactive reaction :;光生物学的活性化反応)として消炎作用、鎮痛作用、創傷治癒作用等の報告もあり、歯周治療含め広い有効性が認められている。

 

 

装置の特性

1968年にPatelにより高出力炭酸ガスレーザーが発振された。

レーザーの媒質としてCO2,N2,Heの三種の混合ガスを使用している。

日本では1977年から組織凝固作用が注目され、レーザーメスとして使用された。非接触型が主流で、照射冷却には水を使用せずエアーを用いる。導光系に多関節マニュピレーター型とファイバー型の二つがある。

炭酸ガスレーザーの分類

(株)ヨシダ OPELASER カタログより

 

媒体:気体(炭酸ガスレーザー)
波長:10,600nm(赤外線レーザー)
出力:高出力レーザー(蒸散、切除、切削等組織に不可逆的変化を与える目的で使用される)
組織吸収度合い:組織表面吸収型レーザー(組織すなわち水分に90%吸収される)
接触・非接触:非接触型

適応症

 

炭酸ガスレーザーの適応範囲は非常に広く、主に軟組織における切開・切除・蒸散に用いられる。

 

①軟組織に対して

>熱的作用を基にした組織蒸散
・切開、切除、凝固、摘出 等の外科的用途


>組織治癒促進を目的
・消炎  ・創傷治癒促進を含めた口角炎  ・口内炎  ・歯肉炎
・抜歯後止血  ・インプラント周囲炎  ・舌痛症
・味覚障害などの症状改善
>審美的治療として
・メラニン色素沈着  ・金属イオン沈着症 等

 

②軟組織以外に対して

・知覚過敏  ・顎関節症  ・三叉神経麻痺  ・三叉神経痛  ・矯正治療時疼痛軽減  ・歯質強化  ・骨再生、修復  ・歯牙漂白 等

 

臨床動画:アフタ性口内炎の臨床応用より抜粋

 

次ページでは、必ず抑えておかなければならない使用上の禁忌・注意事項について解説します。

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