※本記事は、2月上旬最終答申後に点数表記し、更新予定です。
中央社会保険医療協議会(以下、中医協)は、1月23日に行われた中医協総会で、2026年度診療報酬改定の個別改定項目についての答申結果を発表した1)。
今回発表された内容は、昨年発表された2024年度診療報酬改定の基本方針4つに基づいたものである。
(参照:2026度診療報酬改定の基本方針について 厚生労働省)
① 【重点課題】物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応
② 2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進
③ 安心・安全で質の高い医療の推進
④ 効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
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〈今回のポイント〉 基本診療料の引き上げと物価高騰への対応 ・歯科初診料・再診料の引き上げ ・【新設】 物価高への段階的対応として「歯科外来物価対応料」を新設 歯科医療従事者の処遇改善(賃上げ)の推進 ・【新設】 スタッフの賃上げを目的とした「歯科外来・在宅ベースアップ評価料」の新設 ・【新設】 歯科技工士の処遇改善を支援する「歯科技工所ベースアップ支援料」の新設 ライフコースを通じた口腔機能管理の推進 ・歯科疾患管理料、小児口腔機能管理料、口腔機能管理料の算定要件および体系の見直し ・小児の咬合機能獲得を目的とした「小児保隙装置」の評価拡充(可撤式・修理等の新設) 歯周病治療の再整理と医科歯科連携の強化 ・「SPT」「P重防」を「歯周病継続支援治療」へ統合 ・周術期・回復期における管理計画修正(計画策定料2)の新設 ・歯科衛生士・歯科技工士の専門性発揮と連携 ・【新設】 歯科衛生士による「口腔機能実地指導料」の新設 ・歯科技工士との連携体制(対面・ICT活用)の評価整理 デジタル化の推進と補綴治療の適正化 ・【新設】「3次元プリント有床義歯」に係る評価の新設 ・局部義歯のクラスプ・バーにおける使用材料(コバルトクロム合金)の原則化 在宅・地域歯科医療の提供体制の確保 ・在宅療養支援歯科診療所の施設基準および加算の細分化 ・【新設】 歯科巡回診療車等を用いた「地域歯科医療加算」の新設 |
歯科医療における初再診料等の評価の見直し
具体的な内容
診療所については初・再診料等について所要の点数の引き上げを行い、病院については診療所の引き上げと同じ点数を病院の初・再診料において引き上げる。
改定案
歯科初診料:●●点(現行 267点)
地域歯科診療支援病院歯科初診料:●●点(現行 291点)
歯科再診料:●●点(現行 58点)
地域歯科診療支援病院歯科再診料:●●点(現行 75点)
歯科外来物価対応料の新設
具体的な内容
令和8年度および令和9年度における物件費の更なる高騰に対応する観点から、基本診療料等の算定に併せて算定可能な加算として新たな評価を新設する。令和9年6月以降は、所定点数の100分の200を算定する段階的措置を導入する 。
改定案
歯科外来物価対応料(初診時):●●点(新設)
歯科外来物価対応料(再診時):●●点(新設)
歯科疾患管理料、小児口腔機能管理料および口腔機能管理料の見直し
具体的な内容
かかりつけ歯科医による歯科疾患・口腔機能の管理を推進するため、管理実態や対象患者の範囲拡大を踏まえ、要件および評価を見直す。
改定案
歯科疾患管理料:●●点(現行 100点)
小児口腔機能管理料:●●点(現行 60点)
口腔機能管理料:●●点(現行 60点)
小児の咬合機能獲得に向けた対応の充実
具体的な内容
小児の咬合機能獲得の観点から、診療実態を踏まえ、小児保隙装置の評価見直しとともに、装置の調整や修理に係る新たな評価を行う。
改定案
小児保隙装置(固定式):●●点(現行 600点)
小児保隙装置(可撤式):●●点(新設)
歯科口腔リハビリテーション料1(小児保隙装置の場合):●●点(新設)
周術期および回復期等の口腔機能管理の拡充
具体的な内容
医科歯科連携を推進する観点から、患者の状態変化等により管理計画の修正を行った場合について、新たに評価を行う 。
改定案
周術期等口腔機能管理計画策定料2:●●点(新設)
回復期等口腔機能管理計画策定料2:●●点(新設)
継続的・効果的な歯周病治療の推進
具体的な内容
全身の健康に繋がる歯周病治療を継続的・効果的に推進する観点から、従来の「歯周病安定期治療」と「歯周病重症化予防治療」を実態に即して整理・統合し、名称を改める。
改定案
歯周病継続支援治療(1〜9歯):●●点
歯周病継続支援治療(10〜19歯):●●点
歯周病継続支援治療(20歯以上):●●点
重症化予防の推進
具体的な内容
糖尿病患者等に対し、他科からの紹介に基づき歯周病治療を実施し診療情報を提供した場合の評価を新設する。
改定案
重症化予防連携強化加算:●●点(新設)
在宅・地域医療の連携強化
具体的な内容
在宅歯科医療の提供体制を確保するため、歯科医師臨床研修施設における教育体制や実績に応じた施設基準の見直しを行い、評価を細分化する。
改定案
在宅療養支援歯科診療所加算1:●●点
在宅療養支援歯科診療所加算2:●●点
歯科巡回診療に係る適切な推進
具体的な内容
歯科医療の確保が困難な地域等において、自治体等と連携して歯科巡回診療車を用いた巡回診療を実施した場合の評価を新設する。
改定案
地域歯科医療加算:●●点(新設)
歯科衛生士による口腔機能に関する実地指導
具体的な内容
口腔機能の発達不全や低下を来している患者に対し、適切な研修を受講した歯科衛生士が歯科医師の指示を受けて口腔機能に係る指導を行った場合の評価を新設する。
改定案
口腔機能実地指導料:●●点(新設)
歯科技工士の処遇改善と連携推進
具体的な内容
歯科技工所に勤める歯科技工士の確実な賃上げを図るため、補綴物等の製作委託を行った場合に算定できる評価を新設する。また、ICT等を用いた技工士との連携体制の評価を整理する。
改定案
歯科技工所ベースアップ支援料(1装置につき):●●点(新設)
歯科技工士連携加算1(対面):●●点
歯科技工士連携加算2(ICT活用):●●点
歯科治療のデジタル化等の推進(CAD/CAM・有床義歯)
具体的な内容
CAD/CAM冠・インレーの評価および大臼歯の咬合支持等の要件を見直す。また、デジタル技術(液槽光重合方式)を用いて製作された有床義歯の評価を新設する。
改定案
CAD/CAM冠(大臼歯等):●●点
CAD/CAMインレー:●●点(現行 750点)
光学印象(1歯につき):●●点(現行 100点)
3次元プリント有床義歯(1顎につき):●●点(新設)
材料・技法の実態への適合
具体的な内容
局部義歯のクラスプ(鉤)やバーについて、製作の実態に即して原則として「コバルトクロム合金」を使用する運用へ見直す。
改定案
メタルコア(大臼歯・間接法):●●点(引き上げ)
全部金属冠(大臼歯):●●点(引き上げ)
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今回の診療報酬改定の個別項目を読み解くと、厚生労働省が歯科に対して「外来機能」のみならず「地域における健康インフラ」としての役割を強く期待していることが伺える。
人材面では、歯科衛生士による口腔機能に関する実地指導の評価が整理されたほか、歯科技工士の処遇改善を目的とした「歯科技工所ベースアップ支援料」が新設された。歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士がそれぞれの専門性を発揮し、連携して歯科医療を支える体制づくりが、今回の改定全体を通じた重要なテーマとなっている。
また、P重防とSPTの統合や口腔機能管理の拡充は、予防・管理の質をさらに一段階引き上げるメッセージとも取れる。
2月上旬に公表される予定の具体的な点数によって、各医院が進むべき「令和の歯科医療」の姿がより鮮明になると考えられる。
2026年度は光学印象が適用拡大!技工指示書のデジタル化に取り組むならイマ!
歯科技工業務のデジタル化は、単なる作業効率化を超え、歯科医院および歯科技工所の経営基盤そのものを強化する取り組み。
2026年度に「歯科技工所ベースアップ支援料」の新設や、「歯科技工士加算」の増点、光学印象の適用拡大が行われることは、歯科医院や歯科技工所がいかに早くデジタルシフトできるか否かが、各施設の経営の未来を大きく左右することを示唆しているのではないだろうか。
すでに多くの歯科医院が導入し、実績を上げている技工くんでは、デジタル指示書に3Dデータを添付できるため、「光学印象時にも紙の技工指示書を受け渡す」という必要が皆無になる。
これから一歩先を行く歯科医院・歯科技工所づくりのためにも、今こそ歯科技工業務のデジタル化に踏み出してはいかがだろうか?



