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・義歯を毎日清掃していない高齢者は、死亡リスクが高くなる?! ・東北大学が発表した、義歯清掃と死亡リスクの関連を調べた大規模調査の結果をご紹介! |
はじめに
東北大学は2025年12月25日、義歯を毎日清掃していない高齢者では死亡リスクが1.18倍高かったことを発表した1)。
本研究は、東北大学大学院歯学研究科講師の草間太郎先生らの研究グループによるもの。
研究成果は、国際的な学術誌であるThe Journal of Prosthetic Dentistryに掲載された2)。
1)義歯(入れ歯)を毎日清掃していない高齢者では死亡リスクが1.18倍高かった(東北大学)
地域在住高齢者における義歯清掃と死亡リスクの関係
これまでの研究から、入院中や施設に入所している高齢者への口腔ケアが肺炎や死亡のリスク低下に繋がることが明らかになっていたが、地域在住高齢者における口腔衛生習慣が死亡リスクに与える影響はあまり明らかになっていなかった。
多くの高齢者が義歯を使っているが、義歯を適切に手入れしないと肺炎の原因になる細菌の温床となる可能性がある。肺炎は高齢者において、発症率・死亡率が高くなることが知られている。
本研究では、高齢者における義歯の清掃頻度と死亡リスクとの関連について、追跡研究により明らかにした。
約45,000人を対象とした6年間の大規模追跡調査
本研究は2016年に実施されたJAGES(日本老年学的評価研究)調査に参加した65歳以上の人のうち、「義歯を使っている」と回答した人を対象とした追跡研究であった。
2016年調査時点での義歯の手入れを毎日行っているかどうかを尋ね、その後6年以上の追跡期間における死亡の有無との関連を調べた。
分析に際しては、性、年齢、現在歯数、等価所得、教育年数、併存疾患数、婚姻状況、喫煙、ADL、口腔乾燥感、咀嚼困難、むせ、IADL、肺炎球菌・インフルエンザワクチン接種歴、肺炎・インフルエンザの既往の有無の影響を取り除いた。
義歯を毎日清掃しない群では、死亡リスクが有意に上昇
対象者45,301人のうち、義歯の手入れを「毎日は行っていない」と回答した人は4.5%であった。
統計解析により、他の要因の影響を考慮した結果、義歯の手入れを毎日行っている人と比べて、毎日行っていない人では、追跡期間中の死亡リスクが約1.18倍高いことが示された。

義歯の清掃頻度と死亡リスクとの関連(n=45,301)(グラフは参考文献1より引用)

義歯の清掃頻度と累積死亡割合(n=45,301)(グラフは参考文献1より引用)
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今回の研究結果から、義歯の清掃を毎日行わない高齢者においては、死亡リスクが上昇する可能性が示唆された。
「義歯を毎日洗わない群」は、全体の4.5%と少数派ではあるが、その集団が抱える死亡リスクは統計的に有意に高い。著者らはメカニズムとして、義歯プラークに潜む呼吸器病原菌による誤嚥性肺炎の可能性を挙げているが、今回の研究では「全死亡」をアウトカムとしているため、死因が必ずしも肺炎と限らない点には注意が必要である。
今後は死因別の解析によって、さらなる因果関係の解明が待たれる。


