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・丸尾勝一郎先生が、GBR、即時埋入、RPまで難症例インプラント4症例の長期予後を解説! ・Bio-Oss®が支える骨・軟組織マネジメントや術後5年の安定性とは? |
執筆者:丸尾勝一郎
はじめに
この記事では、筆者が異なる臨床的課題をもつ4つの症例に対し、Geistlichの遅延吸収型のウシ由来異種骨補填材「Bio-Oss®」を共通して応用し、良好な長期経過を得た臨床報告を行う。
取り上げるのは、「前歯部GBR同時埋入(術後5年)」「大臼歯即時埋入とレジンシールテクニック」「審美領域の抜歯即時埋入」、そして「多数歯欠損におけるリッジプリザベーション」の4例。これらの症例を通じて、各術式における骨・軟組織マネジメントの要点と、適切な材料選択がもたらす審美性・機能性の長期的安定について解説したい。
今回、症例内容に関するご質問を投稿いただくことが可能。ご質問には、レポート執筆者である丸尾先生からのご回答を掲載しますので、お気軽にお申し込みいただきたい。
質問受付期間:2025年12月19日(金)まで
症例1『上顎前歯部に対するGBR同時インプラント埋入症例(術後5年経過)』
前歯部におけるインプラント治療は、臼歯部と比較して技術的・生物学的な合併症に加え、審美的なトラブルのリスクが高く、治療の難易度が格段に上がる領域である。
良好な審美結果を長期的に維持するためには、適切な埋入ポジションに加え、骨造成のタイミングと方法、さらに使用する骨補填材およびメンブレンの選択が極めて重要となる。
GBR(骨誘導再生法)は、前歯部インプラント治療において欠かせないステップであり、移植部位の骨量を長期的に安定させるためには、信頼性の高い骨補填材の選定が求められる。
筆者は、遅延吸収型のウシ由来異種骨であるGeistlich Bio-Oss®が日本国内で導入された当初より、外側性の骨造成を中心に積極的に活用してきた。本稿では、同補填材を用いたGBRを伴う前歯部インプラント埋入の症例について、術後5年の長期経過を経た現在も良好な予後を示している一例を紹介する。
患者情報
年齢・性別:42歳女性
主訴:右上中切歯の変色による審美的な問題
治療計画
審美領域であることから、軟組織の厚みと高さの確保を重視し、以下の治療計画を立案した。
・抜歯前に意図的挺出を実施
・粘膜の歯冠側移動を得たのち、抜歯
・粘膜治癒後(抜歯後1ヶ月)にインプラント埋入+GBRを同時に実施(TypeⅡ・早期埋入)

初診時口腔内写真およびデンタルX線およびCT画像

挺出途中の状態、粘膜状態の変化

抜歯時および抜歯後1ヶ月後の口腔内写真とCT画像
手術内容
埋入時、唇側に2~3mmの骨欠損(裂開)を確認。以下の材料と手技にてGBRを行った。
●骨補填材:
・自家骨切削片(ドリリング時採取)
・Geistlich Bio-Oss®(Sサイズ)
●Geistlich Bio-Gide® にてメンブレン被覆を行い、適切に縫合

インプラント埋入時・裂開の状態とGBR施術中の写真

縫合直後の写真
補綴ステップとメンテナンス
術後3ヶ月で二次手術を行い、プロビジョナルを装着。
歯肉乳頭の自然なクリーピングを観察しながら、プロビジョナル形態を調整。審美的な満足が得られた段階で最終補綴へ移行。

プロビジョナル装着時の装着から2ヶ月後の口腔内写真

最終補綴装着時の正面観とデンタルX線写真
経過観察(術後5年)
現在まで歯肉退縮は認められず、良好な審美性・機能性を維持している。
インプラント周囲の軟・硬組織の安定も確認されており、長期的予後としても良好と評価できる。

術後1年時の正面観とデンタルX線写真

術後5年時の正面観とデンタルX線写真
(術後写真は、S&Aデンタルクリニック院長 仲村 倫希 先生 よりご提供いただきました)
考察
本症例では、審美領域における骨および軟組織のコントロールを目的として、意図的挺出を計画的に行い、その後、適切なタイミングでインプラント埋入と同時GBRを実施したことが良好な結果に繋がったと考えられる。
挺出による歯槽骨・歯肉の垂直的な再構築は、埋入位置の自由度を高めるだけでなく、最終補綴時の歯頸ラインおよび歯肉形態の対称性確保にも寄与した。
さらに、Bio-Oss®とBio-Gide®の併用によるGBRは、骨造成量の確保と軟組織の安定化の双方において非常に有効であった。特に、Bio-Oss®の遅延吸収性により、長期にわたる骨ボリュームの維持が可能となり、Bio-Gide®がその形態保持と軟組織の早期被覆を促進した点は重要である。
これらの相乗効果により、審美的・機能的に良好な結果が5年経過後も維持されていることから、本治療プロトコールの有効性が示唆される。
症例2『レジンシールテクニックを用いた大臼歯即時埋入症例』
大臼歯部における抜歯即時埋入は、抜歯窩の形態や感染の有無、埋入トルクの確保など多くの要素を考慮する必要があり、術式の選択と埋入後の骨補填および抜歯窩の封鎖方法が予後に大きく影響する。
特に、抜歯窩上部の軟組織閉鎖が得られにくい場合、一次治癒の確保と感染リスクのコントロールが重要となる。
近年、筆者が考案したレジンシールテクニック(Resin Seal Technique)は、抜歯窩を開放創のまま終了することなく、レジンで上部を封鎖することで軟組織の早期治癒と感染防止を両立する方法として良好な結果が得られている。本稿では、同テクニックを応用した大臼歯抜歯即時埋入の症例について報告する。
患者情報
年齢・性別:63歳女性
主訴:右下第一大臼歯の疼痛と咬合時の違和感
治療計画
初診時、歯根破折が疑われ、クラウンおよびレジンコアを除去したところ、破折線を認め保存不可能と診断。
抜歯後の咬合回復を目的として、抜歯即時埋入によるインプラント治療を計画した。

初診時口腔内写真・パノラマX線・CT画像
クラウンおよびレジンコアを除去したところ、破折線を認めたため保存不可となり、患者はインプラント治療を希望された。
手術内容
大臼歯部での抜歯即時埋入に際し、以下の術式を行った。
① 歯根を分割
② 抜歯に先立ち、サージカルガイドを用いてイニシャルドリルによる埋入窩の形成
③ 周囲骨を損傷しないよう愛護的に抜歯
④ 抜歯窩の掻爬および肉芽除去の徹底
⑤ 既存骨壁の保存に配慮しながら、最終ドリルによる埋入窩形成
⑥ インプラント埋入
⑦ ヒーリングアバットメント装着
⑧ 抜歯窩とインプラントのギャップ部にBio-Oss®にて骨補填
⑨ 抜歯窩上部はレジンシールテクニックにより即時封鎖

インプラント埋入時・GBR施行中の写真

レジン封鎖直後の写真

抜歯即時埋入直後のデンタルおよびパノラマX線写真とCT 画像
経過および補綴ステップ
術後2週間で良好な軟組織の一次治癒を確認。露出や感染の兆候は認められなかった。
術後3ヶ月で封鎖していたレジンおよびヒーリングアバットメントを撤去。浸潤麻酔下にて、遊離したBio-Oss®を掻爬した後に、スキャンボディを装着し、口腔内スキャナを用いて最終上部構造の印象を行った。

術後3ヶ月の口腔内写真

レジンおよびヒーリングアバットメントを撤去した状態
最終補綴および経過観察
最終補綴はジルコニアクラウンをスクリューリテインにて装着。
術後5年の時点でインプラント周囲の骨吸収は最小限で、歯肉の厚みおよび形態も安定している。

最終補綴装着時の口腔内写真およびパノラマX線写真

術後1年時の口腔内写真

術後5年時の口腔内写真およびパノラマX線写真
考察
本症例では、抜歯即時埋入において軟組織閉鎖を行わずにレジンで封鎖するレジンシールテクニックを応用することで、創部の感染リスクを抑えながら良好な治癒経過を得ることができた。
本法の最大の利点は、抜歯窩周囲軟組織が抜歯窩へ倒れ込むのをレジンによってサポートすることができることに加え、創部の閉鎖によって細菌バリア機能を同時に確保できる点にある。軟組織の縫合を必要としないため、歯槽堤形態の変化を最小限に抑えることができ、特に頬側骨の温存や将来的な補綴形態の自由度を高めることに繋がる。
また、Bio-Oss® の使用は、抜歯窩壁の骨吸収抑制とともに、長期的な骨ボリューム維持に寄与していると考えられる。
即時埋入においても感染コントロールと封鎖性を高めることで、機能的・生物学的安定が得られることが示唆された。
近年では、術式をやや改変し、ヒーリングアバットメントは可及的に高く太いものを選択し、レジンによる封鎖範囲が小さくなるようにしている。

近年筆者がおこなっているレジンシールテクニックの改変法
まとめ
レジンシールテクニックは、大臼歯部の即時埋入においても有効な術式の一つであり、軟組織閉鎖が困難な症例でも安全に応用できる可能性がある。また、抜歯即時埋入の骨補填には遅延型吸収性の骨補填剤であるBio-Oss®が長期安定において有効であることが示唆された。
今後は、症例の蓄積と長期経過観察を通じて、さらに適応範囲を検討していく必要がある。
症例3『上顎審美領域への抜歯即時埋入にGeistlich Bio-Oss®を応用した症例』
上顎前歯部のインプラント治療は、審美性と機能性の両立が求められる難易度の高い領域である。特に抜歯即時埋入においては、埋入位置の正確性に加え、唇側骨の吸収リスクを考慮した骨造成が長期的安定性を左右する重要な要素となる。
Bio-Oss®とBio-Gide®によるGBRは、唇側骨の温存と歯槽堤形態の維持を目的として広く用いられており、信頼性の高い骨造成材の組み合わせとして知られている。
本症例では、上顎審美領域に対する抜歯即時埋入において、これらの材料を応用し良好な結果が得られたため報告する。
患者情報
年齢・性別:62歳女性
主訴:前歯部の審美障害および歯の動揺
既往歴:特記事項なし
口腔内およびX線所見:前歯部の審美障害および歯の動揺

初診時口腔内写真およびパノラマX線およびCT画像(左から#12,11,21,22相当部)
治療計画
審美領域であることから、抜歯に伴う唇側骨吸収を抑制しつつ、軟組織プロファイルの維持を図ることが重要と判断した。CT評価により既存骨量が十分に確保されていたため、以下の治療方針を立案した。
・抜歯即時埋入
・インプラントと抜歯窩間のギャップ部への骨補填
・唇側骨のボリューム維持のためBio-Oss®+Bio-Gide®による同時GBRを実施
・インプラントへの負荷を考慮し、抜歯即時埋入はおこなわず、接着性のプロビジョナルを装着
・治癒期間後、プロビジョナルを用いた軟組織の形成を行い、最終補綴へ移行
手術内容
可及的に抜歯を低侵襲的に行い、頬側骨壁を温存した。その後、口蓋側よりにインプラント埋入を行い、初期固定(約35Ncm)を得た。インプラント体と抜歯窩壁との間隙はBio-Oss®で填入し、唇側骨の吸収予防を目的として外側にも同材料を添加。Bio-Gide®にて被覆し、テンションフリー縫合を行った。

抜歯後・埋入後・GBR後の術中写真

抜糸時口腔内写真
補綴ステップ
術後3ヶ月の治癒期間を経て、プロビジョナルの印象採得・装着を行った。インプラント周囲粘膜の安定および患者満足が得られまで、歯頸ライン・歯肉形態の調和を図った。プロビジョナルの調整により、最終補綴へ移行するための軟組織プロファイルを確立した。

プロビジョナル装着時・調整過程の写真
最終補綴は審美性に優れたジルコニアクラウンにて製作。歯頸部の立ち上がりや隣接歯との調和が良好で、自然感のある補綴結果が得られた。

最終補綴印象時の口腔内写真(スキャンボディあり・なし)

最終補綴装着時の口腔内写真およびパノラマX線画像
考察
本症例では、抜歯即時埋入により治療期間の短縮を図りつつ、Bio-Oss®およびBio-Gide®を組み合わせた同時GBRにより唇側骨のボリューム維持と審美的安定性を確保することができた。
抜歯即時埋入は、適切な症例選択と手術手技、さらに埋入ポジションと骨造成のバランスを図ることで、審美領域においても有効な選択肢となり得る。
まとめ
・抜歯即時埋入は審美領域においても適応可能である
・Bio-Oss®とBio-Gide®の併用により、唇側骨の吸収抑制と歯槽堤形態の維持が可能
・プロビジョナルによる軟組織マネジメントが審美的成功の鍵となる
症例4『上顎多数歯欠損症例におけるインプラント治療のポンティック部位にリッジプリザベーションを行った症例』
上顎前歯から臼歯にかけての多数歯欠損症例において、欠損歯数と同様の数のインプラントを埋入することは少なく、インプラント間はポンティックによる補綴を選択することが多い。
ポンティック部位の顎堤形態は抜歯後経年的な萎縮し、ポンティックと顎堤の間に隙間が生じ、審美障害の原因となる。そのため、抜歯後の顎堤形態を維持することは、長期的な予後において重要な課題となる。
このような課題に対し、リッジプリザベーション(Ridge Preservation)は、抜歯後の骨吸収抑制および歯肉形態の維持に有効な手段である。本稿では、上顎多数歯欠損に対してインプラント治療を計画し、ポンティック部位にBio-Oss®を用いてリッジプリザベーションを併用することで、審美的・機能的に良好な結果を得た症例を報告する。
患者情報
年齢・性別:36歳女性
主訴:上顎前歯部審美障害および臼歯部のカリエス
初診時、上顎前歯部の歯列不正および小臼歯から大臼歯部にかけてC4により保存が困難な歯を一部認めた。矯正治療を含めた全顎的な治療計画を提案したが、患者の強い希望もあり前歯部を含めたインプラント治療による修復治療計画を立案した。

初診時口腔内写真(正面観および上顎咬合面観)

初診時口腔内写真およびパノラマX線画像
治療計画
① 右上大臼歯のみ保存し、他の残存歯はすべて抜歯を行い、抜歯即時埋入にて4本のインプラント埋入。即時プロビジョナルを装着
② 将来のポンティック部位にはBio-Oss®をもちいたリッジプリザベーションを施行し、歯槽堤の吸収を抑制
③ 治癒後、最終的にFP1タイプのジルコニアインプラントブリッジにて最終補綴
手術内容
抜歯後、感染源を除去し、ソケット内を十分に掻爬し、洗浄。フラップレスにて即時埋入をおこない、すべてのインプラントに初期固定を確保した上で、SRAを装着。一方、ポンティック予定部位には、抜歯後にBio-Oss®を填入し、リッジプリザベーションを実施。
即時プロビジョナルを装着し、ポンティック部位はプロビジョナルの基底面をオベイド形態にすることによって、Bio-Oss®の溢出を防止した。

抜歯即時埋入およびリッジプリザベーション実施時の術野写真

術後のパノラマX線画像

術後2週間後の正面観
補綴ステップ
術後2ヶ月でプロビジョナルの評価を行い、リッジプリザベーション部の骨形態および軟組織ボリュームの維持を確認。患者からの審美的な要求に応じて、プロビジョナルの調整を数回おこない、満足が得られたため、最終補綴へと移行した。
ポンティック下の歯肉は自然なコンベックス形態を維持し、審美的な連続性が得られた。

プロビジョナル調整後のポンティック部位形態および擬似的歯冠乳頭の状態

最終上部構造装着後の口腔内写真

最終補綴装着時パノラマX線画像

治療前と抜歯後のポンティック部の状態のCT画像:唇側骨壁が吸収されず温存されている
経過観察
現在、まだ術後1年経過時点ではあるが、ポンティック部位の陥凹や歯肉退縮は認められず、インプラント周囲の骨レベルも安定している。
リッジプリザベーションによる堤形態の保持は、最終補綴の審美的一体感に大きく寄与した。

最終補綴物装着後
考察
本症例では、ポンティック部位へのリッジプリザベーションを積極的に行うことで、抜歯後の歯槽堤吸収を最小限に抑制できた。
Bio-Oss®の遅延吸収性により、骨補填材の安定と軟組織の良好な被覆が得られた点は、特筆に値する。
審美領域におけるポンティック形成は、従来は軟組織移植やプロビジョナル形態調整によって対応することが多かったが、本症例のように抜歯時点で堤形態を温存するアプローチは、より低侵襲かつ予知性の高い方法として有用であると考えられる。
まとめ
多数歯欠損症例のインプラント治療において、インプラントはポンティック部位へのリッジプリザベーションは、長期的な審美性と機能性を両立する上で有効な治療オプションである。
症例内容についてご質問に回答いたします!
今回、症例内容に関するご質問を投稿いただくことが可能。ご質問には、レポート執筆者である丸尾先生からのご回答を掲載しますので、お気軽にお申し込みいただきたい。
質問受付期間:2025年12月19日(金)まで
本資料は製品の効果および性能等の一部のみを強調して取りまとめたものではなく、製品の適正使用を促すためのものです。製品の詳細に関してはガイストリッヒファーマジャパン㈱営業担当へご確認ください。
一般的名称:非吸収性骨再生用材料 / 販売名:ガイストリッヒ バイオオス
医療機器承認番号:22300BZI00026000 / 高度管理医療機器
一般的名称:吸収性歯周組織再生用材料 / 販売名:ガイストリッヒ バイオガイド
医療機器承認番号:22500BZI00003000 / 高度管理医療機器
販売業者 ガイストリッヒファーマジャパン株式会社 選任製造販売業者 AJMD株式会社
ガイストリッヒファーマジャパン株式会社
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