日本ではレーザーの大学教育が全く行われていないにも関わらず、装置だけが先に臨床に普及してしまった。

 

これはインプラントの普及パターンに類似しており、そのインプラントは今、安全性について社会問題となっている。それゆえ、我々はインプラントを他山の石としなくてはならない。

レーザーを臨床で使用する理由は、患者・医療提供者双方にメリットがあるからに他ならない。

しかし現状は“レーザーを持ってるから使ってみた”という漠然とした動機で使われてはいないだろうか。

 

本稿では、安全な歯科医療の普及のため、レーザーの基礎知識について解説したい。

現在日本の歯科で使われている主なレーザー

図1 レーザーの波長(未認可のレーザーを含む。数値は代表値)

・アルゴンガスレーザー  470nm
・He-Neレーザー    634nm
・半導体レーザー    810nm
・ネオジウムヤグレーザー(Nd:YAG)  1064nm
・エルビウムヤグレーザー(Er:YAG)  2940nm(→水が光を吸収する値(3000nm)とほぼ同じ波長)
・CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)  10600nm

 

図2 レーザーの波長と吸収の程度

 

図1図2は現在国内で使用されている主なレーザーである。

生体組織の60〜80%は水分であるので、水に対する吸収の程度が、組織への深達性を決める最も大きな要因となる。

レーザーの分類

レーザーは、組織への深達性により大きく分けて次の2つに分類される(図3、図4参照)

 

図3 レーザーの組織透過性



組織表面吸収型

組織表面で反応・吸収され、組織表層で作用するレーザー。

代表例)

・Er:YAGレーザー

・CO2レーザー

 


組織透過型(深部に透過していく)

組織表面では吸収されず、深部まで透過し作用するレーザー。

代表例)

・半導体レーザー

・Nd:YAGレーザー

 

図4 各種レーザーの特性

 

では、実際に生体に使用した場合はどのような違いになるのだろうか。

次の図5を参照いただきたい。

 

図5 各種レーザーの組織作用の違い


左から組織表面吸収型のEr:YAG、CO2、右の2つは組織透過型のNd:YAG、半導体の順に並んでいるが、一番左のEr:YAGは組織表層で完結し、炭化層が見られないのがわかる。


断面を確認すると、Er:YAGはほとんど熱の影響がなく、CO2は一層の炭化層のみなのに対し、組織透過性のあるNd:YAG、半導体は炭化層の下に変性層を見ることができる。

つまり、止血性が高いのは熱変性層のできるNd:YAGレーザー、半導体レーザーであるが、一方で熱の影響が少ない方が治癒は早い。

 

止血をとるのか、治りをとるのか、というの問いには「使い分け」ということになる。

例えば、出血が止まらない部位に対して、まず表面吸収型のCO2レーザーを使い、だめだったら組織透過型のNd:YAGや半導体・・という順にするのが望ましい。いつでも大切なのは「どこに対してどのように適切に照射するか」であることを忘れてはならない。

適用症例の違い

 

図6 レーザーの適用症例の違い

 

昔言われていたように、1つのレーザーでなんでもできるということはなく、波長によって適応が変わってくることをよくご理解いただきたい。

また本記事、挿入画像に記載の適応症のうち、薬事承認の範囲を越えた使用に関しては自己責任のもと臨床応用することができるが、未承認機器を使用するにあたっては、医療倫理上のインフォームコンセントを書面承諾で得ることが必要である。

 

各レーザーに関しては各論でまとめるので、この機会に違いをしっかりおさらいしていただきたい。

 

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