・ハンズオンセミナーやケースプレゼンテーションが満載!オステオロジーシンポジウムのプレイベント、『Pre-NOS2025 in Tokyo』の様子を徹底レポート。 |
はじめに
浅草橋ヒューリックで4月20日、オステオロジー財団について学ぶ『Pre-NOS2025 in Tokyo』が開催された。(株式会社WaCo主催)
今回のイベントは、9月6(土)・7日(日)にオステオロジー財団という国際的な団体が開催する『National Osteology Symposium』のプレイベントとして開催。イベントではオステオロジー財団の活動紹介とともに、骨再生に関する講演、ハンズオンセミナーが実施された。
National Osteology Symposiumは、歯周組織・インプラント周囲組織に対する再生治療に関することを徹底的に学ぶことができる、世界的なシンポジウムの国内版。今回はそのプレイベントであるPre-NOS2025 in Tokyoの様子をお届けしたい。
【9月6(土)・7日(日)開催!】National Osteology Symposium Tokyo 2025へのお申し込みはこちら
井原雄一郎先生からマンツーマンで外科手技の基礎を学べる!贅沢なハンズオンセミナー
午前の部では、WHITE CROSSセミナーの人気講師でもある井原雄一郎先生による、少人数制のハンズオンセミナーが行われた。
ハンズオンセミナーの講師を務めた井原雄一郎先生
実習では顎模型やバイオマテリアルを使用し、GBRを行う際の切開〜縫合までの各ステップについて解説がなされた。
メンブレンを固定するピンを止める位置、順番、骨補填材のボリュームが足りない部分に追加で填入(ソーセージテクニック)する際のポイント、減張切開を入れる際に注意すること、縫合針の選択、ホールディングスーチャーの入れ方など、GBRを初めて行う術者であっても非常にわかりやすく、井原先生が日常臨床で行う微細なテクニックがふんだんに紹介された。
ハンズオンで使用した器具・器材(左)と実習中の様子(右)
受講生が実習を行う時間では、井原先生が一人ひとりのテーブルを回って、手厚く細やかな指導を行っている姿が印象的であった。
受講生にマンツーマンで指導を行う井原先生
オステオロジーって何?オステオロジー財団ってどんな団体?ガイストリッヒ社との関わりは?
午後の部では、まずオステオロジー財団という団体そのものや活動内容、ガイストリッヒ社との関連、National Osteology Symposiumについて、ガイストリッヒファーマジャパン株式会社と東京歯科大学歯周病学講座教授の齋藤淳先生より説明が行われた。
齋藤淳先生
オステオロジー財団では、これまで2014・2017・2022年の3回、National Osteology Symposium=NOSとよばれるシンポジウムを東京で開催し、2025年9月にも東京で開催することが決定している。
National Osteology Symposium Tokyo 2025では、審美領域マネージメントや歯周再生療法、骨造成、合併症管理をテーマに、最新の知識と技術を深掘りするセッションが行われる他、海外講師によるハンズオンワークショップや若手歯科医師向けポスターセッションも開催予定とのこと。
【9月6(土)・7日(日)開催!】National Osteology Symposium Tokyo 2025へのお申し込みはこちら
今回のシンポジウムで大会長を務める齋藤先生からは、2017年に東京で行われたシンポジウムの様子が紹介され、当時数々のトップランナーである先生方が登壇されたことを報告した。また、今回齋藤先生とともに大会長を務めるRonald Jung先生からのビデオメッセージが放映され、各先生方のNational Osteology Symposiumへの熱い意気込みが感じられた。
過去のNational Osteology Symposiumに参加した歯科医師は、現在どう活躍している?
続いて、National Osteology Symposiumをはじめとするオステオロジー財団主催の学会や講習会への参加、オステオロジー財団からの助成金獲得経験がある3名の歯科医師によるプレゼンテーションが行われた。
2017年、上海とスイスで行われたOsteology Research Academy(ORA)に参加した蓮池聡先生は、当時行われたセッションを振り返り、心を打たれたエピソードなどを語った。
また、オステオロジー財団によるポッドキャストについても紹介。23本あるポッドキャストの中から、数々の名だたる講師に関するクイズを出題し、知られざる裏話をシェアした。
蓮池聡先生
同じく2017年の上海でのORAや、東京で開催されたNational Osteology Symposiumに参加した前川祥吾先生は、オステオロジー財団の主な活動や助成制度について紹介。その中でも大学でペリオやインプラントを学ぶ先生や大学院生、歯学部生向けに開催されている「リサーチアカデミー」とよばれる財団のスカラーシップ制度について解説した。
リサーチアカデミーでは、臨床研究や基礎研究のデザイン、統計の考え方について数日間みっちりと学ぶことができるのみならず、国際的なメンターとのネットワークも形成できるとのこと。海外留学に興味のある先生は、リサーチアカデミーに積極的に参加し、リサーチスカラーシップを勝ち取ってもらいたいとエールを送った。
前川祥吾先生
今回のNational Osteology Symposium Tokyo 2025では、1980年以降に生まれた歯科医師を対象に、ポスターセッション抄録を6月2日(月)23:59まで受付中。発表者(筆頭著者)として採択されるとシンポジウムへの登録料が39,800円(一般・早割料金)→6,500円(学生・研修医料金)になるという、非常にお得な機会である。
リサーチスカラーシップおよびNational Osteology Symposium Tokyo 2025でのポスター発表にご興味のある方は、ぜひ下記より詳細をご確認いただきたい。
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リサーチスカラーシップの詳細はこちら
National Osteology Symposium Tokyo 2025ポスター発表の詳細はこちら
※ ページ下部「ポスター発表」のセクションに記載あり
ポスターセッション応募規定はこちら
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このセッション最後の演者である今村健太郎先生は、自身が参加したミシガン大学でのリサーチアカデミーについて紹介した。4日間のリサーチアカデミーでは、研究デザインや分析方法だけでなく、研究におけるマネジメントやリーダーシップについても学べると話し、大変有意義なコースであったと述べた。
また、9月に開催されるNational Osteology Symposium Tokyo 2025で今村先生が講演する内容についても軽く触れ、再生療法におけるコンビネーションセラピーについて、in vitro研究や動物実験などの最新知見から切開方法といった臨床テクニックまでを解説すると伝えた。
今村健太郎先生
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新進気鋭の若手歯科医師によるケースプレゼンテーション
午後の部後半は、浅賀勝寛先生と柴崎俊一先生、土橋未来先生といった、いま注目の若手歯科医師によるケースプレゼンテーションが行われた。
浅賀先生は、まず骨造成とGBRの定義の違いを丁寧に解説し、骨造成の中にはGBRだけでなく、サイナスリフトやスプリットクレスト、ブロック骨移植、オープンバリア、リッジプリザベーションが含まれることを説明した。
浅賀勝寛先生
次いで前歯部の審美障害を主訴として来院した40代女性の症例を提示し、FaceScanを用いて、デジタルフェイスボウトランスファーを行い、インサイザルエッジポジションを決定した経緯を詳細に解説した。
前歯部の審美障害を主訴として来院した40代女性の症例
浅賀先生のケースプレゼンテーションでは、午前のハンズオンセミナーで解説されたソーセージテクニックを用いた臨床例を見ることができ、午前と午後でリンクした内容を学ぶことができた。
柴崎先生のパートでは、インプラント成功の定義について説明。他院で埋入されたインプラントがインプラント周囲炎に罹患していたケースを用いて、失敗の要因となる項目を解説した。水平性骨吸収の症例と垂直性骨吸収の症例を提示し、さまざまな文献とともに骨造成の適応症について考察された。
最後の土橋先生のパートでは、ヨーロッパ歯周病連盟(EFP)のガイドラインを用いて、歯周病の各ステージについて説明。その後、ステージⅣの歯周病患者に対して行ったGBRの症例が2例提示された。広汎型と限局型の歯周炎とではアプローチが変わってくること、GBRは歯周炎によって咬合できなくなった患者さんのQOLを再び向上させられる方法であることを強調した。
柴崎俊一先生(左)と土橋未来先生(右)
吉野宏幸先生が補填材のスタビリティーの重要性を徹底的に紐解く
Pre-NOS2025 in Tokyoのラストを飾るのは、日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会の指導医である吉野宏幸先生。
吉野先生は、歯周組織再生療法と骨造成についていくつもの症例をもとに解説した。
歯周組織再生療法においては、「フラップマネジメント」「スペースメイキング」「スタビリティー(安定性)」の3つが重要であることを説明。MISTやVISTAといったマイクロサージェリーの症例を供覧したのち、文献をもとに4mm以上の骨欠損は深ければ深いほどオペの結果が良いことを説明した。また、骨欠損の角度としては、37度よりも狭い角度の骨欠損であれば改善しやすいことも述べた。
直近10年でパピラプリザベーション等のフラップマネジメントやスペースメイキングの術式が確立されたと吉野先生はいう。今までは再生が困難だったケースも最近では良い結果が得られるようになってきたと伝えた。
骨造成のパートでは、冒頭に術式の選択と術者のスキルが非常に重要であると説明。ワンパターンな術式だけでオペに臨むのではなく、なるべく組織にとってやさしい術式を選択すべきだと語った。
骨内欠損であれば骨補填材+メンブレンを使用するだけで大きな問題は起きないものの、骨欠損の量が多い場合は、ブロック骨移植やスプリットクレストといった術式も選択するなど、骨欠損の状態によって術式は変化することを強調した。
吉野宏幸先生
今年は東京で開催!骨再生について学べるNational Osteology Symposiumへのお申し込みはこちら
9月6(土)・7日(日)にベルサール汐留で開催される『National Osteology Symposium』。
著名な海外演者だけでなく、日本のトップランナーである講師陣が集結する豪華なシンポジウムには、以下のバナーよりお申し込みが可能である。骨再生に関する最新の文献やスキルを学びたい先生は、ぜひお申し込みいただきたい。
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