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・歯科衛生士が日々行うメインテナンスをより低侵襲にするために欠かせない、コンクール3大製品とは? ・プロフェッショナル用の機器を使用するのは、セルフケア用品を使い切ってから?!メインテナンスを行う上で心得ておきたいポイントを解説! |
はじめに
近年、う蝕治療や補綴治療でよく耳にするMI(ミニマルインターベンション)。MIとは、「最小限の侵襲で治療を行う」という概念として歯科で広く知られています。
MIの概念は、歯科衛生士が日々行うスケーリング・ルートプレーニングやメインテナンスに対しても求められつつあり、可能な限り低侵襲、かつ必要十分な処置が追求される時代になってきたのではないでしょうか。
今回は、ウエルテック株式会社(以下、ウエルテック社)のコンクールシリーズで人気の3大製品を使用した低侵襲なメインテナンスについて解説していきます。

メインテナンスに使用したコンクール3大製品
そもそもメインテナンスとは?
メインテナンスとは、英語で「maintenance」と表記し、「維持する」という意味をもつ「maintain」の名詞形である。すなわち、スケーリングやPMTCを意味するものではありません。

患者さんがセルフケアによって口腔内を良い状態にキープできている。歯周組織検査を行っても、口腔内に異常がなく、それ以上何も行う必要がない。
そのような状態がもっとも理想的なメインテナンス患者さんの状態なのではないでしょうか。
もちろん必要に応じてスケーリングやPMTCを行うことはあれど、基本的には「良好な口腔内の状態を維持する」ことを目的としたメインテナンスが行われるべきであると感じます。やむを得ず「良好な口腔内の状態」でない患者さんを継続的に管理していく場合は、保険治療でいうSPTやP重防の対象となるでしょう。
今回はあくまでも「良好な口腔内の状態を維持するためのメインテナンス」を行うことに焦点を当て、メインテナンス時に使用するコンクール製品とその使用方法を紹介します。
コンクール製品によるメインテナンスを行った症例

患者概要
患者:77歳女性
メインテナンス歴:10年
既往歴:高血圧
生活歴:喫煙、飲酒なし
職業:介護のパート(週3程度)
まずは処置前にコンクールFによる洗口で口腔内細菌の減少を図る
コンクールFは医薬部外品洗口液に該当するため、薬機法上、抗ウイルス製剤としての有効性を表現できないものの、SARS-Cov-2ウイルスや口腔内細菌を減少させることがこれまでの研究で示されています。

SARS-Cov-2ウイルスに対してコンクールFを作用させた実験(グラフはウエルテック社より提供)
そのため、メインテナンスを行う前には、患者さんにコンクールFを用いた洗口を60秒間行ってもらうことで、感染症対策を図ります。

歯周組織検査、染め出し後はジェルコートFをつけた歯ブラシでPTC
メインテナンス時には必ず医療面接を行い、体調の変化や服用薬の変更がないかを確認しましょう。その後、歯周組織検査を行い、口腔内の状況を確認。歯周組織検査を行った後は、全顎を染め出し、プラークの付着状況も併せて確認します。
※ 染色液には、プラークの性状によって色分けされるものを使用
メインテナンスで染め出しを行う目的としては、以下の2点が挙げられます。
① 患者さんのプラークコントロールの確認およびTBIを行う
② プロフェッショナルクリーニングを行う際の取り残しを防ぐ

唾液が介入するとプラークが染まりにくくなるため、下顎舌側の唾液が貯留しやすい部位から先に塗布する
染め出し後は、1,450ppmフッ化物配合歯磨剤であるジェルコートFをつけた歯ブラシや歯間ブラシ、フロスを使用してプラークを除去していきます。

ジェルコートFをつけた歯ブラシと歯間ブラシ
ジェルコートFは研磨剤無配合のため、より低侵襲にPTCを行うことが可能であると同時に、ジェルタイプであることから、TBIを行う上でも指導したい部位を患者さんに明示しやすい利点があります。
PTC時に歯磨剤を使用する目的は、「患者さんに爽快感を味わってもらう」こと。また、自院で販売しているセルフケア用品をメインテナンス中に使用することで、患者さんから「いま何の歯磨き粉使っているんですか?」などと聞かれることもあると思います。こういった機会を利用して、患者さんから歯科専売品に対して興味をもってもらえるという利点も覚えておきたいポイントです。

ジェルコートFとセルフケア用品を用いてPTCを行う様子
歯ブラシで除去できなかったプラークはエアブラシで清掃
歯ブラシや歯間ブラシ、フロスで除去できなかったプラークについては、付着してから長時間経過していることが考えられるため、セルフケアにおいて特に注意したいポイントです。

PTC後に残存しているプラーク
患者さんにそういったプラークの付着部位を伝え、ここで初めてプロフェッショナル用の機器であるエアブラシを用います。
健康な歯肉の患者さんであれば、クリーニングとよばれる処置はこの程度で十分だと感じます。

残存していたプラークが除去された様子
もちろん、歯肉縁上および縁下歯石の沈着を認める場合は、TBIと併行してスケーリングおよびデブライドメントなども行う必要があるでしょう。
着色についてはどう対応する?
今回の患者さんの場合、上顎前歯部口蓋側にのみ、うっすらとお茶による着色を認めました。

上顎前歯部口蓋側に沈着する着色
全顎的には着色していないものの、ところどころにうっすらと着色を認める症例は、メインテナンスでよく見かけるように感じます。このような一部分の着色を除去するだけであれば、先ほどの口腔内清掃で使用したエアブラシを着色除去に用います。
軽く注水させてからエアブラシにコンクールクリーニングジェル<PMTC>を少量つけ、注水オフの状態で着色部分にアプローチすると、簡単に着色が除去できます。
(参照:下顎前歯叢生部の着色をカンタン!キレイ!に除去する方法とは?)

エアブラシとコンクールクリーニングジェル<PMTC>を用いて着色除去を行う様子
必要最小限の範囲で着色除去を行うことで、低侵襲なアプローチができるだけでなく、エアポリッシャーなどを準備する時間や手間も省くこともできるため、エアブラシが院内にある方はぜひお試しください。

エアブラシにコンクールクリーニングジェル<PMTC>を少量つけて操作する
その後は、患者さんの口腔内の状況に応じてポリッシングやフッ化物塗布を行い、メインテナンスを終了します。
患者さんに必要な処置は何か?メインテナンスで見極めたいポイント
メインテナンスでまず行うべきことは、医療面接と歯周組織検査。検査なしに、どんな処置を患者さんに提供するべきかを判断することはむずかしいため、もっとも必要なステップといえるでしょう。
そして次に行うべきことは、歯周組織検査に伴う染め出しと必要に応じたTBI、プラーク除去。プラーク除去には、歯ブラシや歯間ブラシ、フロスといったセルフケア用品を用い、機器の使用を必要最小限に留められると、より低侵襲なメインテナンスを心掛けられると考えます。

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今回はより低侵襲なメインテナンスを行う上で考えたいポイントについて解説しましたが、臨床現場では患者さんの口腔内の状況に応じて、メインテナンス中に適宜必要な処置を追加していくことも多々あるでしょう。
メインテナンスに関しては歯科衛生士それぞれの考えがあり、歯科衛生士の数だけ答えがあるのかもしれません。
ただ、闇雲に超音波スケーラーによる全顎のスケーリングやイリゲーション、ポリッシングを行うことは避けていきたいという想いは、多くの歯科衛生士がもっている想いではないでしょうか。
今回解説した内容が、日々臨床で行っているメインテナンスを振り返るきっかけの一つになると嬉しく思います。



