・株式会社ナカニシは3月21日、訪問歯科診療用ユニットの新製品を販売開始する。中部デンタルショーで初披露となった新しいユニットの特徴とは? ・たくさんの工夫と技術が込められた製品であるにも関わらず、従来品との価格差は約13万円(定価)程度?!新製品開発の裏側をインタビュー! |
はじめに
株式会社ナカニシ(以下、ナカニシ)は3月21日、訪問歯科診療用ユニット『VIVAace 2』を販売開始する。
今回は、2月15・16日の中部デンタルショーで初披露となった同製品の魅力について、また製品開発担当者の方々の熱い想いをお伝えしたい。
中部デンタルショーナカニシブースの様子
バキュームの吸引力は約3倍!吸引量と注水ボトルの容量も大容量に!
VIVAace 2の圧倒的魅力は、なんといっても“パワー”。診療室にあるバキュームや超音波スケーラー、マイクロモーター、3Wayシリンジといった診療室の機能が一つのユニットに凝縮されており、このユニット一つで訪問診療が行える、心強い製品だ。
特にバキュームにおいては、従来品の約3倍の吸引力を実現するために、高性能バキュームモーターを独自に開発。さらに使用時の動作音を抑えることで、静音性も向上した。パワフルな吸引力と静音性で、訪問先でのスムーズで快適な施術をサポートする。
吸引力が約3倍になったバキューム(写真はイメージ図)
また、バキュームボトルと注水ボトルの容量も従来品と比較し、大容量になった点も嬉しいポイントではないだろうか。
バキュームボトルと注水ボトルの容量は従来品よりも増加した
超音波スケーラーは耐久性に優れたチタン製ボディを採用!
超音波スケーラーは、『Varios2』の機能をそのままに、チタン製ボディをハンドピース、ホースいずれにも採用。樹脂製のハンドピースに比べ、消毒や滅菌等の再生処理に対する耐久性が向上した。
また、ナカニシ社独自の表面処理技術“DURAGRIP”コーティングによって、ボディが傷付きにくく、さまざまなグローブでも滑りにくいグリップ感を提供する。
チタン製ボディを採用した超音波ハンドピース
3WayシリンジにはLEDライトが標準搭載!口腔内の視認性がアップ
3WayシリンジにはLEDライトを標準搭載し、訪問先で暗くなりがちな口腔内の視野を確保。これによって、VIVAace 2に付属しているハンドピースすべてにLEDライトが搭載されることとなった。
操作ボタンも従来よりも大きくなって押しやすくなり、現場環境での施術をさらに行いやすくするための工夫が施された。
LEDライトが標準搭載されたVIVAace 2の3Wayシリンジ
視認性に優れたシームレスな操作パネル
正面からはもちろん、側面からも明るくはっきりと見やすい大画面の液晶タッチパネルを採用。体格差による目線の違いや現場の環境に影響されにくいため、施術中でもパネルを確認しやすくなっている。
斜めの位置から見ても違和感なく表示を確認できる操作パネル
明るいパネルは、数字やボタンも大きく表示され、作業しながらでも直感的なタッチ操作が可能。一般切削、超音波スケーラー、エンドの各モードへの切替、選択も簡単に操作できる。また、エラーが出た際にはエラーコードだけでなく、エラー内容も同時に表示されるといった、かゆいところに手が届く改善も施されている。
エラーが出た際は内容が表示されるため、どこを確認するべきかを瞬時に把握できる
「VIVAace 2は従来品のVIVAaceとどう違う?」開発担当者に突撃インタビュー!
2月15・16日に開催された中部デンタルショーのナカニシブースでは、今回発売するVIVAace 2が初披露された。
WHITE CROSSでは、ナカニシ社の商品企画部の藤田健吾氏と電気設計部の髙橋広典氏にVIVAace 2開発の裏側について伺った。
ナカニシ社商品企画部の藤田健吾氏(右)と電気設計部の髙橋広典氏(左)
Q.今回VIVAace 2を開発した経緯は?
藤田氏(以下、藤田):訪問歯科の現場に歯科診療で使える製品をすべて持って行けるよう、2016年にVIVAaceの販売を開始しました。当時は、訪問現場へ持ち運びやすいという点で「最軽量」という特徴を推して売り出していました。
その中で、ユーザーの先生方から“バキュームの吸引力をもう少し強くしてほしい”という声が上がったことから、バキュームの吸引力をはじめ従来の機能を一度すべて見直して、今回のVIVAace 2を開発することになりました。
髙橋氏(以下、髙橋):訪問診療用のユニットって、どうしてもコンパクトなスペースにチェアの機能を収めなければいけないので、診療室のユニットに比べるとどうしても機能を落としたような形になりがちなんですよ。しかし今回は、「やっぱり診療室の機能はしっかりと詰め込みたいよね」というところから始まりました。そのためVIVAace 2は、診療室から移っても違和感なく使えるように、超音波スケーラーやモーターは診療室用と同じものを使用しています。
Q.今回パワーアップしたバキュームには、どのような工夫がされている?
髙橋:VIVAace 2に使用しているバキュームモーターについては、今回社内で新規開発したんですよ。
藤田:あと、バキュームボトルの蓋についているフィルターやフロートも変わりました。これらが機能することで、機械内部に水が入りにくいようになるので、故障も起こりにくくなります。さらに、万が一内部に水が入ってしまっても、水を検知して停止し、エラー表示でお知らせするため、ユーザー自身で入り込んだ水分を抜き取る作業をしてもらえれば解消します。
バキュームボトルのフィルターとフロートもリニューアル(左:VIVAace 2、右:従来品)
Q.“VIVAace 2のココを見てほしい!”というポイントは?
髙橋:従来品と形はよく似ているんですけれど、細部に至るまで、ほぼ全面的に設計を見直しているというところです。例えばハンドピース類のホースにおいては、クセがつきにくいような素材に変え、スケーラーやモーター、シリンジの水量を調節するつまみにおいては、「本当に使いやすいか?」「このサイズで本当に良いのか?」ということまで再考しました。
水量を調節するつまみにおいても再考し、より使いやすい形に改良された
藤田:実は結構早い段階で、完成品と大体似たような形にはなるんです。ただ、そこからの細かい部分を詰めていく作業が非常に大変でしたね。
商品企画部ではユーザーの先生方からの意見をもらって、新しい製品の企画内容を開発に伝えるのがメインなので、実際にそれを形にする開発のチームがいちばん大変だったと思います。
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バキュームや超音波スケーラー、3Wayシリンジ、タッチパネルなどのわかりやすい特徴だけでなく、細部に至るまで多くの改良がなされたVIVAace 2。
こんなにもたくさんの工夫と技術が込められた製品であるにも関わらず、従来品との価格差は約13万円(定価)程度であるという。
訪問歯科診療のクオリティ向上に必ず貢献してくれるであろうVIVAace 2の性能を、ぜひ一度体感していただきたい。