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インタビュー 2025/02/25

「シグノシリーズ」は誕生から40周年!高いデザイン性を追求した奮闘について開発者にインタビュー

PR 株式会社モリタ
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モリタ東京製作所が製造するチェアユニット「Signo(以下、シグノ)シリーズ」は、発売から40周年。

 

競争が激しいチェアユニット市場で、デザイン性に活路を見出し、さまざまな創意工夫に取り組んできた設計開発スタッフたち。そのエンジニアたちの取り組みについて、誕生の秘密や飛躍のマイルストーンとなったポルシェデザインとのコラボなど、高いデザイン性を追求した奮闘記を伺うことができた。

 

また、チェアユニットにデザイン性を求める歯科医療従事者にはぜひ注目していただきたい「シグノ T500」に追加された新オプション4つの特長にも迫る。

 

「シグノ T500」に追加された新オプション

 

「シグノシリーズ」の高いデザイン性はいかにして生まれたのか

 

 

「シグノシリーズ」が生まれた経緯を教えてください

中山:私が入社したのは1979年。初代「シグノ」の販売が始まったのが、1984年のことです。「シグノ」の設計開発が始まった当時、私は研修が終わってようやく部署に配属されたところで、実は「シグノ」誕生の経緯はほとんどわからなくて、外野から眺めているだけだったというのが実情です。

 

チェアユニット自体にはそれほど関わっていませんでしたが、「シグノ」の少し前に「ADONIS(アドニス)」というチェアユニットが販売されました。その「アドニス」の頃から、会社としてデザイン性に注力していこうという流れがあったように思います。

 

田村:私はそれから少し後の入社で、実際の開発に携わったのは、1992年発売の「シグノ LX-1」からです。「LX-1」以前は、修理やメンテナンスを担当するサービスマンが東京と大阪に1人ずついるだけで、私はそのころマイクロモーターの設計を担当していたのですが、チェアユニットの修理のために駆り出されて、国内のいろんな地域を回っていました。

 

チェアユニットのデザイン性に注力されるようになった理由は何でしょうか?

中山:同じモリタが販売するチェアユニットでも、京都のモリタ製作所が製造する「スペースライン」は、Dr.ビーチのコンセプトに基づいた人間工学的なデザインで、確固としたブランド力を持っていました。一方、弊社では他のチェアユニットメーカーと同じ土俵で戦わなければいけない状況でしたから、その中で差別化を図る意味で、機能面に加えて外観のインパクトは必要だという判断に至ったのだと思います。

 

 

「アドニス」の誕生に関して何か特別な思い出はありますか?

もともと日本の大手自動車メーカーでデザインされていたデザイン会社に依頼してできたのが、「アドニス」です。デザイン的にはかなり洗練されていて、先生方からの評価も高いチェアユニットでした。

 

しかし、当時依頼したデザイン会社がまだそれほど歯科の事情に精通していなかったこともあって、その後いろんな問題が発生しました。例えば、製品写真を見てもらえればわかるように、背板がとても厚くボリューム感があって、いざ治療しようとすると背板の下に先生の膝が入らないことや、インスツルメントのチューブが床に付いてしまうのを避けるためにトレーテーブルの中にチューブを巻き込む仕様を採用したのですが、この機構があとあとトラブルの種になって、その後対応にかなり苦労しました。

 

「アドニス」ではいろんなチャレンジを試みました。ウレタン成形という手法を日本で初めて採用しましたし、タービンをワンタッチで接続できるアダプターも導入しました。オペレーティングライトも弊社独自に開発して、そのデザインも「アドニス」のデザイナーにお願いしました。そのライトが重たくて支えきれずに下に垂れてきてしまうなど、いろんな問題はありましたが、とにかく当時できることを「アドニス」で試してみたということはありますね。

 

『ADNIS(アドニス)』1982〜1987年

 

 

そして1983年に初代「シグノ」が誕生、「シグノ」という言葉にはどういう意味があるのでしょうか?

「アドニス」の教訓を得て、満を持して発売されたのが初代「シグノ」でした。デザインも「アドニス」と同じデザイン会社に依頼しました。「アドニス」で起こった問題点を一掃するべく、まさに弊社が持てる技術を結集したエポックメイキングな製品だったと思います。

 

詳細はうろ覚えですが、確か「シグナル」という言葉がベースだったと思います。命名は社内で行いました。「シグノ」の開発には、専門のプロジェクトチームを立ち上げました。製品開発において、専門のプロジェクトで臨んだのはおそらく「シグノ」が初めてだったと思います。技術開発や品質管理、生産技術などの各部署から選出されたスタッフがかかりきりで、「シグノ」の設計開発に当たっていたのを、私は遠くから眺めていました。もちろんデザイナーも頻繁に弊社に来てデザインのすり合わせも行っていましたし、成形品を製作する際にはその業社まで一緒に出向いて、自分の手で触って納得いくまで確認していました。

 

『初代シグノ』1984〜1988年

 

 

シグノシリーズ誕生に迫ったインタビュー全編はこちらから!

インタビューの続きはこちらから▶︎

 

新型ユニットの開発、ポルシェデザインと初めてのコラボレーションがスタート

 

 

まずは、初めてポルシェデザインにデザインを依頼することになった経緯を教えてください

金子:シグノの「LX-1」(1996年〜)や「Gシリーズ」(1993年〜)の途中まで、チェアユニットのデザインは国内のデザイン会社に依頼していました。担当のデザイナーは、これまでさまざまな経験を積んできた方でしたので、日本の歯科環境もある程度わかっていますし、これまでの経緯も十分理解してくれていました。ですから、モデルチェンジを依頼する際には、お互いにいわゆる“あうんの呼吸”で進められるという安心感がありました。

 

その後、新型チェアユニットの開発にあたり、ポルシェデザインにデザインを依頼することになったのですが、彼らがなぜオファーを受けてくれたかというと、これまで歯科用チェアユニットのデザインの経験がなかったことから、大いに興味を持ってくれたことが理由だったようです。

 

ポルシェデザインは、最初に綿密な市場調査を行った上でデザインにかかるスタイルでしたが、歯科の知識がほとんどなく、日本とヨーロッパの国事情が違うところもあって、最初はかなり難航したようです。そこで、当時弊社の最新機種だった、「シグノ LX-1 TYPE HM」の実機をポルシェデザインの事務所があるオーストリアに送って、詳しく検証してもらうことにしました。

 

「シグノ LX-1」シリーズ進化の系譜

「LX-1 TYPEⅡ」1996〜1998年(左)、「LX-1 TYPE CORE」1998〜2001年(中央)、「LX-1 TYPE HM」2000〜2005年(右)

 

「シグノ G(GRAND)」シリーズ進化の系譜

「GRANDⅡ」1993〜1997年(左)、「GR」1997〜2001年(中央)、「TYPE G30」2000〜2023年(右)

 

 

ポルシェデザインによる「トレファート」のデザイン画を見た時の印象はいかがでしたか?

金子:「LX-1 TYPE HM」をベースにデザインされましたから、外観はどことなく「LX-1」に似た部分はありました。ただ、実際に製品開発者として、そのデザイン画を再現し、商品化していく立場からすると、「これまでの経験上、私たちならまずやらないな」と思える要素がたくさんありました。

 

当初開発陣としては、デザイナーとのやり取りも含めて、折衝はかなり難航しました。実現が困難ということで、デザイン変更を依頼したことも何度となくあります。ただ、ポルシェデザイン側も「そちらのボス(社長)がOKしているのだから」ということで、なかなか折れてくれません。ただ、最終的には、デザイン画から若干の違いはみられますが、彼らが描くイメージに近い形で再現できたと思っています。

 

ポルシェデザインによるデザイン画をもとに解説する金子氏

 

貴重な「トレファート」1次試作時の写真。
この時点でほぼ完成形に近い状態に見えるが、シートなどは実際の素材ではなくウレタンの削り出しによるもの。この後、2次試作、3次試作と少しずつ完成品に向かって進化していく。

 

 

「トレファート」でこれまでと大きく変わった部分は具体的にどんなところでしょう?

金子:それまでは座面用のシートというと、職人が手で貼っていく方法が多かったのですが、「トレファート」では、当時はあまり見られなかったエンボス調のシートを採用しました。表面はツルッとしているのですが、表面にポツポツの突起(ディンプル)が入っていて、かなり薄い素材です。これを職人の手作業で貼るのはむずかしいということで、新たにシート自体を一体で成形できる業社探しから始めました。

 

さらに、「トレファート」では背中の部分のシートにスリットのような溝がデザインとして入っていて、これを実現するためには型押し成形が必要になり、それを可能にするシートも新たに開発しています。また、「トレファート」は、ご覧の通り座面や背板がかなり薄いデザインになっています。シートのクッションもそれに合わせて薄く、それでいて座り心地を良くするために、これまでのクッション材を見直して低反発のクッション材を新たに採用するなどの工夫を行っています。

 

加えて、トレーテーブルにもポルシェデザインならではのこだわりが詰まっています。具体的には、透明感を出すために透明樹脂を使用しているのですが、それだけでは裏側まで透けてしまいますから、裏側から塗装を施しています。これによって奥行きを感じる透明感を再現し、デザイン性をさらに高めています。この仕様はテーブルホルダーやアシスタントホルダーも同様です。スピットンは同じく透明な塗装ですが、こちらはガラス製です。こうしたデザイン面でのこだわりも「トレファート」で初めて採用しています。

 

「トレファート」で採用した技術面のこだわり

 

 

ポルシェデザインと初めてタッグを組んだ感想はいかがでしたか?

釜口:私は近年、社外の皆さんに弊社の技術について紹介する機会があるのですが、「トレファート」については、現代にも通用する斬新で先進的なデザインとして高い評価をいただくことが多いですね。

 

また、臨床家の先生と共同開発を行うことがありますが、先生が「ここはどうしてもこうだ」とこだわる部分は、一見実現がむずかしいと思っても、なんとかして形にすることで、今までにない殻を破れるところがあると思います。

 

ものづくりは、クライアントに従うことが必ずしも正義ではなくて、お互いのこだわりの部分がうまく出せるような関係性が良いと思います。私が携わっている共同開発製品でいうと、「このサイズ内に収めたいです」と私たちがお願いしても、「この機能を入れるためにはこれが必要だから」と先生が譲ってくださらないケースは往々にしてあります。

 

ただ、それこそまさに、新しい取り組みへの第一歩なんだな、と今までの金子の話を聞いていて感じました。私が携わったオペレーティングライトにもデザイン的なこだわりはたくさんあって、そこでいろんな試行錯誤の苦労がある分、最終的にそれに見合った良い製品に仕上がったのだと思います。

 

ポルシェデザインによる『シグノ TREFFERT(トレファート)』

 

 

ポルシェデザインの壮絶な開発秘話と交渉術はこちらから!

インタビューの続きはこちらから▶︎

 

「シグノ Tシリーズ」誕生の裏側と「T500」新オプションへのこだわり

 

 

最初に「シグノ Tシリーズ」開発の経緯からお聞かせください

青羽:もともと「シグノシリーズ」は、デザイン性の高いチェアユニットという評価をいただいていましたが、当時の「シグノシリーズ」には「Gシリーズ」という別のシリーズがすでにありました。

 

諸先輩方が世に送り出した「シグノ」から仕様や使い勝手の良さを脈々と受け継ぎ、「G50」から「G10」まで、グレード別に展開していました。ただ、それぞれ機種ごとに開発時期やデザイン会社が違っていたこともあって、シリーズとしてのデザイン言語の一貫性に欠けていたんです。

 

そこで、「トレファート」で得たデザイン面での市場評価と、これまで積み重ねてきた機能を両立させた新たなシリーズを開発しようということでスタートしたのが「シグノ Tシリーズ」開発の経緯です。

 

日比野:「Gシリーズ」の発売からある程度時間が経過して、フルモデルチェンジについて検討する段階に入ったときに、先に青羽が話した経緯のほかに、「トレファート」の成功によって、ポルシェデザインの市場の優位性やアピール度の高さを私たちは肌で感じていました。そこで、「次の新シリーズはやはりポルシェデザインで」という話が持ち上がり、「上位機種から廉価モデルまでデザインを統一し、シリーズとしての一貫性を持たせていこう」ということで、話が進んでいきました。

 

『シグノ Tシリーズ』

「シグノ T500」2018〜年(左)、「シグノ T300」2019年〜(中央)、「シグノ T100」2022年〜(右)

 

 

この度「シグノ T500」に新たなオプションが追加されたと伺いましたが、それぞれの特長について教えてください

佐藤:「シグノ T500」は、「Premium Seat」、「4種の新色シートカラー」、「Pearl White Edition」、「サポートハンドル」という4つのオプションが新たに追加されました。

 

「シグノ T500」に追加された新オプション

 

青羽:もともと「Tシリーズ」には「ラグジュアリーシート」というオプションシートが設定されていました。ポルシェデザインとしては「シートはできるだけ薄くて、かつ座り心地の良さを追求するのがデザインだ」という思いがあって、「ラグジュアリーシート」はそれほど厚みをもたせた仕様ではありませんでした。

 

ただ、先生方からは「もっとふかふかした厚みのあるシートがほしい」というご要望もあって、一度チャレンジしたことがありました。実際に国内の高級自動車のシート縫製をしているメーカーに「シグノ T500」の実機を持ち込んで、メーカーの開発者とも共に試作検証を繰り返し、晴れて「Premium Seat」を世に出すことができました。

 

 

① 「Premium Seat」 

佐藤:「Premium Seat」では、ステッチが一つのポイントになるため、ポルシェデザイン側もステッチの糸の色や位置にはかなりこだわっています。

 

「シグノ Tシリーズ」の場合、背中のバックレスト部分と座面のシート部分は、よく似た形状をしていて、「Premium Seat」ではその部分にそれぞれ「H」状のステッチが入っています。この位置についても、最初はもう少し下の方にあったり、ラインが少し円弧を描いていたりしていたのですが、「ラインは真っ直ぐで、位置もバランスの取れたこの位置で」といった細かな指示がポルシェデザインからありました。何度もやり直しては、「ここのラインが違う」「もう少し上に」などのやり取りを、このステッチ位置だけで何度も繰り返しました。

 

ただ、私たちとしては、ステッチ位置はこの位置でないと、作り勝手が良くないとか、形状が再現できないなど、いろんな問題はありましたが、それを何とか乗り越えて現在の位置に落ち着きました。

 

青羽:ステッチ位置は座り心地にダイレクトに影響してしまうので、患者さんがいちばん快適だと思うところを私たちは提案するんですけど、ポルシェデザインからすると「デザインとして美しくない」という一点張りで、現状に落ち着くまでかなり難航しましたね。

 

佐藤:実はこのステッチは、今までお願いしていた業社では思ったようにできませんでした。湾曲の部分にシワが寄ってしまわないように、カーブの形状に沿って縫わないといけないのでノウハウが必要でした。もちろんその業社も今までいろんなシートの縫製をお願いしてきたので、信頼しているのですが、今回は少しむずかしかったみたいで…。あと、デザイナーが希望する糸の色や太さで縫製できる設備も持っていませんでした。「これは弊社で専用のミシンを買うしかないか」と私たちで話していて、実は業務用のミシンメーカーに見に行ったこともありました。

 

最終的には、こうした縫製のノウハウも持っていたメーカーにシートの製造をお願いすることができ、何とか事なきを得ました。職人さんのノウハウと使用している機械との兼ね合いもあります。やはり自動車メーカーにシートを提供している業社は新しい機械やノウハウを持っているので、本当に助かりました。

 

「Premium Seat」のステッチ部分。湾曲部分のシワを抑えるために新たなノウハウが必要になった。

 

 

② 4色の新色カラー

佐藤:今回「シグノ T500」に新たなシートカラーを4色追加したのですが、最初にポルシェデザインとは、ポップな色にしようということで話が進んでいました。しかし、ポルシェデザインとしては「シグノ T500」の標準ボディカラーであるシルバーメタリックに搭載するシート色でもあり、後ほど登場する別の新オプション「Pearl White Edition」の両方にマッチする色ということで、「Bordeaux(ボルドー)」と「Cognac(コニャック)」の2色という、どちらかというと渋めの2色を強く提案してきたんですね。

 

そこで私たちは「もっとポップな色を」と依頼して、何度も話し合いながら提案された数色の中から鮮やかで女性にも受け入れられるような色を営業スタッフも交えて選んで、最終的に今回の4色に落ち着きました

 

青羽:ポルシェデザイン側は最後の最後に、「やっぱりあの色はこちらに変更してほしい」という依頼があったりしましたね。

 

日比野:そうでしたね。できあがった製品の色見本を見て、1色だけ「どうしてもこの色は違う」となりました。

 

佐藤:Cognac(コニャック)色です。最初はもう少し明るい色だったんですが、ポルシェデザインから「チープに見える。コニャックはもう少し濃い色だ」という指摘がありました。コニャックはヨーロッパでいうブランデーの1種ですが、「コニャック」という色名は本革製品でよく使われていて、それをイメージさせるような色をということで、最後まで調整が必要でした。

 

ただ、調色して実際の色を作っていくのに3ヶ月以上かかるんです。新色発表までちょうど残り3ヶ月くらいしかなくて、現場からは「本当に最後のチャンスですよ」といわれながら超特急で作ってもらったことを思い出します。本当に土壇場の状態でしたね。現場にも苦労をかけてしまいました。

 

「シグノ T500」のシートカラーラインナップ。下段の4色がこのたびオプションとして追加された。

左から「Bordeaux(ボルドー)」、「Cognac(コニャック)」、「Pale Olive(ペールオリーブ)」、「Soft Rose(ソフトローズ)」

 

 

③ 「Pearl White Edition」

佐藤:「Pearl White Edition」は、現在増えつつある女性の先生方を意識しています。「シグノ T500」のボディ色には、高級感や重厚感のあるメタリックシルバーを採用しているのですが、女性にとっては好みが分かれる色だったんですね。

 

そうしたイメージを払拭できるような色を、ポルシェデザインに依頼しました。最初、ポルシェデザインは当時流行色だったピスタチオのような淡いグリーン色を提案してきました。その色は色見本の小さなプレートで見るときれいな色だったのですが、いざボディ全体に塗装してみると、意外にイメージが合わなくて、「これはちょっと…」ということで再検討することになりました。

 

「シグノ T500」は、弊社が製造するチェアユニットのうち最上位機種ですから、果たして、どんな色が受け入れられるかは弊社内でも大いに疑問になりました。そこで、ポルシェデザインに「上位機種として上品な色を」と依頼したところ、パール色の提案がありました。女性向けの美顔器や家電製品などをみると、白にパールが混ざったような色の製品があるので、弊社内でも「これはありかも」ということで話が進行しました。

 

青羽:実は私たち開発側としては、環境負荷などのことを考えると、できるだけ一般的な塗装で再現できる色が良かったので、パールを入れたくないという事情がありました。

 

日比野:そこでパールではではない、他の少しでも柔らかいイメージの色をいろいろ試作してみましたが、結局どれもしっくりこなかったですね。

 

佐藤:もう少し柔らかいイメージと清潔感を感じるとなると、やはり白なんです。さらに、その白に寄せたパール系ということでパールホワイトに決まりました

 

「Pearl White Edition」の実機。微妙なツヤ感の調整には何度もテストを繰り返した。

 

 

④ 「サポートハンドル」

佐藤:高齢の方や体が不自由な方などが、安定してチェアユニットから降りていただくのをサポートするのが、新オプションである「サポートハンドル」の目的です。ハンドルの上や下の部分を持って立ち上がったり、横を掴んで体を引き寄せたりと、人間工学に基づいた角度や位置をいろいろと検討しました。

 

単純にライトポールに組み込んでいるだけのようにみえますが、繰り返し耐久試験を行い強度もクリアしていますし、デザインと組立性を考慮した固定方法となっています。ハンドル構成の一部は圧入にしていて、実はかなり技術が必要で、ハンドルの上下が平行になっていないと最終的にライトポールへうまく組み込むことができません。そこで製造部と協力して、平行になるように専用の治具を作ってもらうことで実現しました。

 

 

この「サポートハンドル」にもポルシェデザインは関わっているのでしょうか?

佐藤:ええ。もちろんです。実は握り部分のエッジをもっとシャープにしてほしいという要望がありましたが、やはり握ると痛くなるので、そこは説得して諦めてもらいました(笑)。

 

サポートハンドル

 

 

シグノTシリーズ4つの新オプションへのこだわりはまだある!

インタビューの続きはこちらから▶︎

 

「シグノシリーズ」は発売から40周年 !

試行錯誤の上、市場のいろんな意見を真摯に受け止めてきた結果、発売から40年愛され続けるチェアユニットとなった「シグノシリーズ」。

 

実際に見て、触ってこそ伝わる高いデザイン性のチェアユニットがそこにある。3部にわたる開発秘話のインタビューの続きもこちらから!

 

シグノシリーズ製品サイトはこちらから

 

 

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