喪失歯数とアテローム性動脈硬化症の関連が国内のコホート研究で明らかに
ニュース 2017.01.09

喪失歯数とアテローム性動脈硬化症の関連が国内のコホート研究で明らかに

WHITE CROSS編集部

歯周病を始めとした口腔内の慢性の感染性疾患が全身の健康に悪影響を及ぼすことは、数々の文献で示唆されている。

(参考:[ニュース] 歯周病の病原細菌と食道癌の関連性、[ニュース] 歯周病と認知症の関連性について[ニュース]歯周治療による糖尿病の重症化予防の可能性

 

しかし、それらは主に欧米人を被験者とした海外の文献である点や、臨床的な関連性や度合いまでは明らかにされていないのが実情であった。

 

今回、京都大学医学研究科助教の浅井啓太先生(歯科医師;神奈川歯科大学卒)を中心とした研究グループが行った疫学調査により、歯周病などの慢性炎症により喪失した歯数と動脈硬化度に有意な関連があることが証明された。

 

研究は、「ながはま0次予防コホート事業」の調査で得られた約10,000人の情報を用いて行われている。

矯正治療や外傷、転位歯などの非炎症性の理由により失われた歯を除く、27歳から83歳の男女8,124人が対象となり、動脈硬化についてはCardio-Ankle Vascular Index(CAVI)を使って測定された。喪失歯数とCAVIの関係を年齢、性別、Body Mass Index(BMI)、喫煙の既往、ヘモグロビンA1c、インスリンまたは糖尿病治療薬使用の有無を調整して解析が行われた。

 

ながはま0次予防コホート事業とは

(クリックで外部サイトへ)

京都大学大学院医学研究科と長浜市、そして、長浜市民とが、産官学民連携で進めているプロジェクト。

ヒトの体質(ゲノム)やごく僅かな血液成分の変化も測定できるようになったことから、病気になるはるか手前で先手を打って予防することも夢ではなくなりつつあります。このような従来の1次予防に先んじる予防を「0次予防」と名付け、その実現を目指している。現在長浜市民10,000人が参加している。

 


その結果、失った歯の数と動脈硬化度に線形の関係が存在し、有意な関連であることが明らかになった。また、女性に比べると男性でその傾向が強いことも判明した。

 

研究者らは、口腔内の疾患は他の疾患に比べて予防が容易であることを指摘し、歯科医院の定期的な受診や健康管理の啓蒙が併発する多くの疾患を予防できる可能性があると話している。「ながはま0次予防コホート事業」によって、それらの関係をさらに深めていく予定のようだ。

 

本研究は、「Tooth Loss and Atherosclerosis: The Nagahama Study」のタイトルで歯科口腔領域のトップジャーナル「Journal of Dental Research」に掲載され、2016 William Gies Awardを受賞している。

 

 

昨年3月には一般財団法人サンスター財団が、歯周病が全身疾患のリスクを増加させるメカニズムを解説したCGアニメーションを、公開している。

(参考:[国内ニュース]サンスター財団が歯周病と全身疾患の関わりを解説するCGを公開

 

動画をご覧になりたい方は、サンスター財団の動画閲覧サイトへ

 

 

エビデンスレベルの高い文献が、国内の調査により世に出ることは、日本の臨床家にとって有益なサポートになることは間違いない。研究や臨床の国際競争力という観点や、産官学民の連携のモデルケースという観点からも、本研究は今後の光明となるであろう。

 

出典:Tooth Loss and Atherosclerosis The Nagahama Study(Journal of Dental Research)
出典:ながはま0次コホート
出典:失った歯の数と動脈硬化が強く関連することをコホート研究で初めて証明 -歯周病の予防が動脈硬化を防ぐ可能性-(京都大学)
WHITE CROSS編集部
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