石井宏先生は、歯学部卒業後、開業医を経て渡米し、ペンシルベニア大学歯内療法科にて米国歯内療法専門医を取得。帰国後はご自身のスタディーグループを通じて、日本の歯内療法の向上に関する教育・啓蒙活動に尽力されています。

 

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日米間の歯内療法学分野における格差とは

Q.留学に至った経緯とは何ですか?

私は歯学部を卒業して比較的早く開業しました。おそらく学年でいちばん早かったと思います。8年くらいGPとして臨床をしました。開業後から数多くの講習会に参加したのですが、藤本順平先生のプログラムがいちばんしっくりきました。How toだけではなく、なぜ?どうして?を文献に基づいた根拠として教えてくれたからです。自分の診療室でも再現性があり、応用も効きました。北米の教育を受 けた先生は明らかに教え方が違うんだな、と感じました。その元に近づきたいと思い、2000年から準備を始め、2004年にペンシルバニア大学歯内療法学科に留学をしました。

 

 

Q.エンドを専攻した理由とは何ですか?

実は、当初は北米の教育に最も興味があり、科目選択は二の次でした。ですので、まずは外国人を受け入れてくれるプログラムを探しました。その教室のチェアマンや大学の性質によって、外国人をとってくれるところとそうでないところがありますので、それを全て調べました。その中から、自分の興味のある学科を選びました。「最も行きたい大学の最も行きたい学科」を選んだわけではないのは格好いい話ではないですが、残念ながら、全ての大学で外国人を受け入れてくれるわけではないんですよね(苦笑)

あとは、エンドは見えないところの治療ですから、卒業したては不安です。歯科医師は全員こんな気持ちでやっているのか?ということを明確にしたかった、というのも、科目に対するモチベーションとしてはありましたね。

 

 

Q.ペンシルバニア大学はどのような学校ですか?

デンタルスクールの中では最も古く、歴史のある大学でした。そして特に臨床に強いと言われている大学でした。近代歯内療法学の父と言われたグロスマン先生を始め、ベンダー先生、セルツァー先生などが集まり、フィラデルフィア自体が歯内療法のメッカと言われていました。

 

 

Q.ペンシルバニア大学で学んだことは何ですか?

行く前はさほど興味の強くなかった学科ですが、留学後は180度変わりました。日本で行なわれている歯内療法と、北米の専門医が行う歯内療法に大きな差、ここまでか!というくらいの差がありました。それに気づけたことは、私の人生の宝です。患者さんの抱える問題を解決する能力に、最も開きがあるのがエンドだと思います。

 

 

 

Q.北米の教育とはどのようなものでしたか?

見て覚えろ、聞いて覚えろ、というスタイルではなく、各ステップごとにチェックが入り、クリアしないと次に進めないシステムでした。見て覚えるというスタイルでは10年かかるところを、北米の教育では2年で終わりますね。システマチックでカリキュラムに沿っていましたから、誰でも一定期間で一定レベ ルまで到達できるというのが最も大きな違いでしょうか。ゴール設定も違うと思いますが、最も効率的な教育というのが北米の教育でした。

 

 

Q.エビデンスの学び方を教えてください

Literature Review(リテラチャー・レビュー)という学びの形式でした。臨床に重要なトピックに沿って抽出された読むべき論文を読み、日常臨床の裏付けをとっていきます。先人たちが築き上げた証拠を組み合わせながら、妥当な結論を出していくというクラスです。10人いればほぼ同じ診断がつくようになり、教育の均 質化がはかられます。思いつきではなく、臨床に必要な論文の解釈などを脈々と受け継いでいくという部分が、日本には欠けているかもしれませんね。

 

 

Q.臨床における“経験”についてどのように思われますか?

私は極めて重要だと思っています。もしエビデンスと経験と、どっちかひとつしかとれないとしたら、僕は経験をとります。ただ、エビデンスも重要ですから、要はバランスだと思っています。実践なきエビデンスは何の意味もないですし。実際に頭と手と勘をはたらかせて、患者さんの問題を解決してあげるのが術者ですから、そこには絶対に経験は必要だと思いますね。

 

 

Q.Syngcuk Kim先生との関わりについて教えてください

学生時代は、先生と生徒の関係でしたね。卒業間際くらいから、気さくに話せるようになりました。日本に帰ったらこうしなさい、ああしなさいというアドバイスもいただきました。今は良きアドバイザーであり、恩師です。学生の時と今ではだいぶ関係は変わってますね。

 

 

Q.帰国された理由は何ですか?

向こうでエンドドンティストとしてやっていく道や、ファカルティーとして大学に残る道もありました。ただ、それよりも2年間学んだことを日本に伝えていくことの方が、ずっとやりがいがあると在学中から感じていました。一生の仕事にしていこうと固く決意しました。それぐらい違いがあり、インパ クトが大きかったのです。

 

 

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