咬合調整のための診察・診断は、歯科医療の中でもっとも複雑でむずかしい分野かもしれません。
 
その理由は、歯科には馴染みが薄い「直接見ることができない器官に生じた疾患の病名を確定する」というステップが必要とされるからです。このステップは、医科において日常的に行われていることですので、まずは医学辞典と整形外科の専門書および内科診断学を買い求めましょう。
 
１．診察と診断の目的
Dawsonは、自書であるFunctional Occlusionにて、咬合調整に関して以下のように示しています。
「結果が疑わしい場合は、咬合調整を行ってはならない。成功するかどうかは、事前に判断できる。」このPRINCIPLEは、咬合調整に着手する前に適切に診察して診断を確定する必要があることを示唆しています。
 
医学辞典によると、診断は「診断すべき事項は病名だけでなく、病人を取り巻く環境、病気の背景、疾病の原因、経過や予後を左右す…