知覚過敏抑制材の特徴を知る~象牙質知覚過敏の原因と対応法~ / WHITE CROSS編集部

象牙質知覚過敏の対応では、様々な知覚過敏抑制材が使用されます。

 

2022年2月28日に開催されたシュミテクトWeb講演会では、日本大学歯学部保存学教室修復学講座教授 宮崎真至先生に、「象牙質知覚過敏~その原因と対応法」と題してご講演いただきました。

 

ご講演の中から、知覚過敏抑制材の特徴を中心にご紹介いたします。

 

歯の構造と「象牙質・歯髄複合体」

歯の構造は、エナメル質、象牙質、セメント質と、それらに囲まれた歯髄に分けられます。

 

エナメル質は約98%が無機質である一方で、象牙質は、無機質が69%、水分が13%、有機質が18%と、構成成分には大きな違いがあります。

 

 

歯髄からの組織液は、象牙細管内を移動し循環します。また象牙質と歯髄は、修復象牙質の形成や知覚の伝達などにおいても機能的な関連性が多く認められます。

 

そのため、一体の組織あるいは複合体としてみなして「象牙質・歯髄複合体」という概念で捉えられています。

 

象牙質知覚過敏の原因

象牙質は細管構造を有しており、この象牙細管を通じて歯髄へ刺激を伝えます。

歯肉の後退やエナメル質の摩耗により、象牙質が露出すると、外部からの刺激が象牙細管を通じて歯髄に伝わり、瞬間的に鋭い痛みを感じるようになります。

 

象牙質知覚過敏は実態があまり明確ではなく、再発の可能性も高いことから、臨床では対処に困る疾患です。

 

知覚過敏抑制材の特徴

象牙質知覚過敏が発症した場合、知覚過敏抑制材の使用を考慮します。

 

各抑制材の特徴について、電子顕微鏡観察の写真とともにご紹介します。

 

 

コントロール

超音波洗浄により、スメア層とスメアプラグを除去した象牙質の表面と縦断面です。

象牙細管が開口していることが分かります。

 

 

 

レジン系封鎖材

レジン系封鎖材で処置すると、表面にレジンの層ができ、象牙細管にも入り込んでいます。写真ではレジンの層が非常に厚く見えますが、ガラス張りのように何も通さないわけではありません。レジンは網目構造をしているため、イオンなどは通過してしまい、刺激によっては痛覚として伝達される場合があります。

 

 

 

グラスアイオノマーセメント系封鎖材

レジン系封鎖材と同様に、グラスアイオノマーが象牙質の表面を覆い、象牙細管にも入り込んでいます。

グラスアイオノマー系の特徴は、フッ素徐放性により再石灰化の誘導が期待できる点と、将来的には外れていくという点です。

 

 

 

シュウ酸カリウム系封鎖材

表面にシュウ酸カリウム塩の結晶が付着しています。このシュウ酸カリウム塩の結晶が象牙細管を封鎖するという説もありますが、酸に対する耐性はそれほど高くありません。

 

溶解して供給されたカリウムイオンによる知覚の鈍麻作用が大きいと考えられます。

 

 

知覚過敏用歯磨剤の使用

象牙質知覚過敏の原因は様々ですが、最も重要なのは日常における口腔内のケアです。

 

現在は知覚過敏用歯磨剤が多く市販されています。シュミテクトは硝酸カリウムを含有しており、知覚過敏の自覚症状の改善効果について、使用開始2週目に44%、4週目には81%の自覚症状が改善したと報告1)されています。

 

患者さんには、このような歯磨剤を上手に取り入れてケアしていただきたいと思います。

 

1)Nagata T, Ueda M, Imai H et al. J Jpn Soc Periodontol 1992; 34(2): 465-471.

 

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