全顎補綴に必要な診断力を身につける / 杉田 龍士郎

米国補綴専門医、テキサス大学サンアントニオ校歯学部歯周病科所属の杉田龍士郎です。

私が米国に来てから5年が経過しようとしています。その間に様々なことを経験し、米国歯科の強みはやはり「診断」にあることを実感しています。

 

そこで今回、ホワイトクロスに協力いただいて、「1口腔単位の診断」にテーマを絞って約6時間(イントロダクション1本 + 本編3本)の講義動画を収録しました。約30分間のイントロダクション(※1)は無料で公開しておりますので、ぜひご視聴いただければと思います。

※1 イントロダクションは該当ページ『▶︎予告編を見る』のボタンからご視聴いただけます。

 

画像クリックで視聴ページへ

  

  

 

「1口腔単位の診断」と聞いて、皆様どのような印象をお持ちになるでしょうか?

 

僕が医科歯科大学の学生だった頃、患者の主訴だけにとらわれるのではなく、口腔全体を見るようにしなければダメだと指導教官から口を酸っぱくして言われました。

当時、学生の診療室には「イエローカード」と呼ばれる診査表があって、初診時に記入することが義務付けられていました。そこで僕が当時実践していたことが、1本1本の歯を見ながら、どこにう蝕病変があるか、どこに深いポケットがあるか逐一記入し、患者さんごとの「病気のリスト」を作成し、治療計画はこれを順番に並べることでした。そして、それこそが「1口腔単位の診断」であると信じて疑っておりませんでした。

 

ところが、卒業して様々な患者さんを診るようになって、う蝕や歯周病を中心とした「Disease-Based」の診断では対応できない症例があるということに気づくようになりました。そして、そのような症例に遭遇すると自分ではもうどうして良いかわからないので、マルモをとって上の先生に聞く、ということが常態化していました。

ところが、こうしたやり方ですと、過去に似たような症例を経験していればなんとなく診断・治療計画立案の糸口が見つかるものの、そうでない場合はやはり上の先生に聞くしかなく、全く応用力が身につかないという状況が続きました。若さゆえの経験不足を補うべく、著名な先生が書かれた日本語の教科書を読んだり、講習会に足繁く通いましたがなかなか自分の成長を実感できませんでした。

 

そんな中、米国補綴科に留学が決まり、そこで「1口腔単位の診断=Comprehensive Diagnosis」をつぶさに学ぶことができました。いわゆる「診断学」ですね。米国では1口腔単位の診断はう蝕、歯周病、トゥースウェアー、審美と4つの大きなカテゴリーに基づいてシステマティックに症例分析を行っていくため、いかなる症例でもほぼ自動的に診断が下せるようになりました。また、最終的な治療アウトカムを念頭に置いて行われるトップダウン型の治療計画立案システム「Facially Generated Treatment Planning」を実践することで、口腔内の指標が失われた難症例にも対応する力が身につきました。

 

杉田先生がサンアントニオ補綴科で治療にあたった症例

う蝕病変、深いポケットはなく、日本の歯学部教育で習う、う蝕・歯周病を中心とした診断システムでは診断および治療計画の立案が困難であった

 

本講義シリーズでは、咬合診断、エビデンスに基づく審美診断、そして3大歯科疾患の総合診断をテーマとした一連の講義を通じて1口腔単位の診断に必要な十分な知識を提供するとともに、上記に示す症例について、杉田がどのように診査・診断し、実際に治療を行なったかを示すことによって、これらの知識を実際の臨床にどう落とし込むかというところまでお話しできればと考えております。

 

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執筆者

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杉田 龍士郎

歯科医師・米国補綴専門医

テキサス大学歯学部サンアントニオ校

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