WHITE CROSS Live 荒井昌海先生『日本の歯科医院経営にevidenceを』 / WHITE CROSS編集部

2018年11月8日の20時より、荒井昌海先生のライブ講演会が行われた。

 

荒井先生は、院内の業務や教育において再現性が必要な部分のマニュアル化・管理制度の構築により、首都圏に9医院の歯科医療法人へと成長させる。診療に専念できる環境づくり=歯科教育が重要であるとの考えに基づき、MID-Gを創立。日本の歯科教育に「Evidence」をコンセプトに全国の歯科医院の成長と繁栄を目指している。

 

今回はテーマを『日本の歯科医院経営にevidenceを』とし、どの医院でも応用可能な再現性のあるマネジメント手法について解説された。

 

本レポートでは、講演のサマリーやライブ配信の様子を報告する。

また、11月23日(金)までの期間限定で「振り返り視聴」としてセミナーのオンデマンド配信が行われているため、見逃した方もぜひご活用いただきたい(記事末尾にご案内)。

 

開業医にとってのEBM。個人事業から脱却するには?

 

荒井先生はまず、開業医にとってのEBMについて語る。

医療におけるEBMはEvidence Based Medicineであるが、同時に組織にとってのEBMは、Evidence Based “Management”でもあるのだという。

大学の役割が「臨床・教育・研究」であるとするならば、開業医の役割は「臨床・教育・経営」である。特に教育について、開業医における教育の主な対象は歯科医院で働くスタッフとなる。荒井先生は、この3本柱を“Management”することこそが、経営者の役割であり、歯科医院の成長に欠かせない要素であると述べた。

 

 

 

それではなぜ、勤務医やスタッフとのコミュニケーションが失敗することがあるのだろうか?

院長先生であれば誰しもが多かれ少なかれ経験するであろう課題について、荒井先生は踏み込んだ。

そこには、現在に至るまでの生活や環境に違いがあることが根本的な背景にあるのだという。それでは、院長や勤務医、歯科衛生士、歯科助手、受付・・すべてのスタッフに共通の体験とは何であろうか。

それは「小学校」にまでさかのぼると荒井先生は語る。教科書があり、授業があり、課外活動があり、試験があり、進級進学がある・・実は社会に出た後の世の中の会社もすべてこのシステムで回っており、もし歯科医院を個人事業から組織として成長させようと考えるならば、このモデルを適用することが必須であると荒井先生は指摘した。

マニュアルの作成と運用。成功に導くポイントとは?

 

続いてトピックは、今回のメインテーマでもあるマニュアルの作成と運用に移った。

歯科医院における業務は「診療業務」と「診療外業務」に大別される。まずはこれらを明確に区別すべきと荒井先生は指摘。

「診療業務」は歯科医院のメイン業務であり、ここにおいては患者とスタッフに対する公平性が重要となる。一方、「診療外業務」については本人の向上心や自主性に基づくものであり、こちらはプラス評価がベースとなるのだという。

これらをマネジメントするために、好き嫌いなどの感情を排し、持続させる仕組みとして「マニュアル」と「スターシステム」の重要性について解説した。

 

 

 

それでは、具体的にどのようにしてマニュアルを作成し、運用していけばよいのか。

荒井先生は、①準備工程と②導入工程、③教育スケジュールに分解した上で、それぞれの勘所を分かりやすく説明。エムズ歯科クリニックやMID-Gで実際に使用している資料を供覧しながらの解説は非常に参考になる。

 

・そもそもマニュアルに何を記載すべきか

・マニュアル作成で陥りがちなミス

・時間をかけずにマニュアルを作成する方法

・既存スタッフの反発を招きにくい導入順序

など、これからシステムの構築を考えている方や、残念ながら挫折してしまった方にとって有用な情報が目白押しだ。

 
まさに荒井先生がエムズ歯科クリニックを開業したときの原風景であり、実体験と理論に基づく説明が強い説得力を持つのが印象的であった。EBM同様、すべての院長先生が同じ試行錯誤を繰り返す必要はなく、荒井先生の積み上げた蓄積を吸収することで、他の医院の成長も飛躍的に加速することに気付かされる。

一方で、荒井先生はマニュアルを始めとするシステムの限界や、医院個別にカスタマイズする必要性も触れ、ベースとなる道徳心についても注意喚起している。

 

セミナーの終盤では、教育ツールのデジタル化やエムズ歯科クリニックでの取り組みについて紹介。結びとして、まずは60点でもいいのでとにかく始めることの重要性を強調し、締めくくった。

質疑応答と振り返り視聴

本セミナーは生放送で行われているため、全国から多数の質問がリアルタイムで寄せられた。

 

ウェブ経由で全国から寄せられた質問にその場で回答する荒井先生

 

・マニュアルが形骸化しています。長続きのコツを教えてください

・歩合制について荒井先生のご意見をください

・診療外業務を頼めるスタッフを増やす方法

・スタッフのセミナー参加や休暇の扱いはどのようにすればいいでしょうか?

・伸びない勤務医スタッフへの対応、等8問

 

 

振り返り視聴のお知らせ

すでにライブ配信は終了していますが、当日見逃した方のために振り返り視聴(録画配信)を設けています。

質疑応答には対応しておりませんが、これからお申し込みいただいてもセミナーを視聴することが可能です。

 

振り返り視聴は2018年11月23日(金)24:00 までの期間限定サービスとなります。

上記を過ぎると、未視聴でもご覧いただくことはできなくなりますので、あらかじめご了承ください。

 

本セミナーは終了しました

執筆者

WHITE CROSS編集部

WHITE CROSS編集部

臨床経験のある歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・歯科関連企業出身者などの歯科医療従事者を中心に構成されており、 専門家の目線で多数の記事を執筆している。数多くの取材経験を通して得たネットワークをもとに、 歯科医療界の役に立つ情報を発信中。

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